
「デカンショデカンショで、半年暮らす」で
有名な丹波篠山は、美味しさ、温かさ、新しさ満載
篠山市は、人口約43,000人。周りをなだらかな山々に囲まれ、自然環境に恵まれた街。大阪や神戸からも車で1時間の所にも関わらず、懐かしい風景や古民家、また陶器の里でもあり、江戸時代からの城下町が保存されていたり、その歴史や文化には驚かされます。
限界集落を再生、悠久の時間だけが流れる
篠山の魅力は何と言っても古民家群。中心部を車で6~7分行くと、景色はのどかな農村に変わります。澄んだせせらぎが静かに流れ、のびやかに田畑が広がり、奥山にはクリンソウの大群生が自生しています。かつて限界集落があった村には、1棟に1組だけの宿泊という改修された古民家3棟の「集落丸山」や古民家を利用した蕎麦懐石料理店、フランス料理店もあり、今と昔が混在しています。
天守閣がない篠山城大書院は一見の価値あり
篠山城は、関ヶ原の合戦に勝利した徳川家康が、豊臣氏ゆかりの西国の抑えとして1609年に築いたため、より実践を意識した造りになっています。復元された大書院は、当時の藩の公式行事などに使用されたもので、現存する木造住宅建築としては京都二条城の二の丸御殿の遠侍に匹敵します。古式の建築様式や荘厳な装飾が往事の雰囲気そのまま鑑賞できます。
美しい文化遺跡の宝庫 優しい人情が漂う街
篠山城を中心に、城下町の面影を残す町並みは、丹後の都として京文化の影響を受けた文化遺産が点在。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。特に、河原町妻入商家群をぶらぶら散歩していると特徴的な間口の狭い建物だけでなく、千本格子や荒格子、袖壁、うだつなど往時の姿を今に伝え、まるでタイムスリップした感覚になります。
江戸情緒が残る城下町 ぶらり歴史探訪を堪能
篠山の歴史を知るには、大書院のほか、昭和56年まで使用されていた篠山地方裁判所の建物を改装して作られた「歴史美術館」、版籍奉還後、篠山藩主青山家の別邸として建てられた建物で茅葺きの門が印象的な「青山歴史村」、さらに篠山藩の標準的な徒士住宅で天保年間(1830~1843)に建てられたものを改修した「武家屋敷安間家資料館」がおすすめです。
緑豊な自然に恵まれた丹波立杭焼きの郷
日本六古窯の一つに数えられ、800年の歴史を誇る丹波焼きの郷が立杭地区です。山の斜面をはうように築かれた登り窯で焼き上げるのが特徴で、素朴で温かみのある陶器として愛されています。地区中心にある「立杭 陶の郷(すえのさと)」では、57の窯元の作品ブースがあり、ここで作風をつかんでから、お目当ての窯元を訪ねるのがおすすめです。
とにかく今一番アツイ、篠山のリノベーション
城下町篠山のお店は、古くからの伝統のお店だけではありません。篠山の魅力に惹かれ、最近市外から拠点を移した人々が古民家を改修した家に住み、雑貨店、カフェ、フレンチレストランやピザハウスなど自由なスタイルで町に新風を吹き込んでまいす。週末になるとお目当てのショップを訪れる京阪神からの人々で町は活気づきます。
デカンショ節
デカンショ節は江戸時代から唄われていた篠山地方の「みつ節」の変形したものと伝えられています。全国に普及したのは明治31年の夏、千葉県館山の江戸家(旅館)に避暑に行っていた旧篠山藩青山家の奨励で遊学していた郷土の若者が、たまたま居合わせた旧制一高の学生に教えてからと言われています。「デカンショ」の語源は「どっこいしょ」が転化したものという説や、哲学者「デカルト」「カント」「ショーペンハウエル」の頭文字をつづったというものとか、他にも諸説が数々あります。
おいしかったね、たのしかったね。
丹波の美味いものは、果てしがない。
茅葺き屋根の囲炉裏料理「いわや」
山の中に大きな茅葺きの屋根が現れました。入り口に水車とイノシシの剥製が。期待が膨らみます。お目当ては「ぼたん鍋」(11月上旬~3月下旬・5,400円)。店主岩本和也さん自ら切る選りすぐりの猪肉と契約農家から取り寄せたとれたての野菜を「いわや」特性の味噌仕立てで頂きました。
●住所/兵庫県篠山市火打岩495-1
●営業時間/11:00~(20:00オーダーストップ)(予約制)
●定休日/4月~9月:毎週木曜日
10月~3月:無休、12月31日・1月1日
●お問い合わせ/079-552-0702
町の食堂に名物あり「大手食堂」
城下町の食堂に入りました。名物は「牛とろ丼」(写真奥・1,000円)。篠山産コシヒカリに国産牛ヒレ肉。その上にたっぷりのすりおろした篠山産の山の芋がふんわり。あっという間に完食しました。写真手前は、しし肉うどん(1000円)。美味しいものにうまさをのせて、舌がとろけました。
●住所/兵庫県篠山市上二階町55-1
●営業時間/10:00~20:00
●定休日/不定休
●TEL/079-552-0660
こだわりが辿り着いた味「一眞坊」
山の中の古民家に「一眞坊」の看板。靴を脱いで廊下をわたり板の間と畳の部屋へ。そこには、囲炉裏と大きな火鉢と何とも言えないお蕎麦の香りが。ご主人の小川俊和さんが篠山に移って11年。生粉打ちから全て手作りのお蕎麦はとっても長く力強さがあり、蕎麦大好きの私たちにも衝撃の美味しさでした。
写真右上は鴨南蛮 1,650円、下は地野菜の漬物 400円。
●住所/兵庫県篠山市今田町釜屋29-2
●営業時間/11:00~15:00(売り切れ次第終了)
●定休日/月曜日
●お問い合わせ/079-506-3956
陶芸家のご主人がこだわった森の中の薪釜ピッツア
篠山市の東南の弥十郎ヶ獄の麓のに向かうと「kuwa monpe」と書かれた大きな薪窯が見えてきました。ご主人の榎本稔さんは20年以上前から「仙童窯」を構える陶芸家。ピッツアレストランは料理人だった腕を活かして2年前にはじめたそう。もちもちの生地と新鮮な野菜。そして何より、薪釜で焼くこだわりは店内に張られた「ピッツアも恋もおアツイうちに」のポスターからも感じられ、とってもリッチな感じになりました。
写真右奥・ジェノベーゼ 1,300円。左奥・マルゲリータ 1,100円。手前・ビスマルク 1,400円。
ピッツアレストラン「クワモンペ」
●住所/篠山市曽根中地586-7
●営業時間/10:30~18:00(ラストオーダー17:30)
●定休日/木・金曜日
●お問い合わせ/079-556-3920
武家屋敷で岩茶。贅沢でゆったりした時との出会い
中国福建省・武夷山の岩山で採れる岩茶の世界に魅了された店主の柴田咲美さんが始めた専門店。量産が出来ずとっても貴重なお茶で、小さな急須にお湯を何度も注ぎ足し味わいや香りの変化を楽しみます。出された器は全て陶芸家であるお父様雅章さんの作品だそう。
お茶は何度も注ぎ分けていただきます(写真左)。お茶請けはドライフルーツ。大紅袍(だいこうぼう)鳳凰水仙 ココナッツ豆腐(500円写真中)とご自慢の手作りミルクまん(2個入り500円・写真右)も素朴な味わい。