
山陰海岸ジオパークと趣深い小京都を散策
平成22年に架け替えられた余部鉄橋。元の3本の鉄橋脚は、余部鉄橋「空の駅」展望施設として生まれ変わりました。隣の鎧駅まで約3分、往復で20分ですので、時間があれば列車に乗って高さ41mの浮遊感と日本海の絶景を楽しめます。
世界ジオパーク認定の山陰海岸ジオパークの町「香美町」
兵庫県の北部に位置する香美町は、日本海に面した自然豊かな町で、全域が「山陰海岸ジオパーク」の一部です。7000万年前、日本列島がアジア大陸の一部だった時代から今に至るまでの日本海と大地の恵みが刻まれています。それ故に他で類を見ない多様な自然を背景にした文化や暮らしがあります。何と言っても先ず「美味しいもの」。食のジオパークとも言われるこの地の海からは、松葉ガニ、香住ガニ、香住黄金ガニ※、ノドグロなど聞いただけで垂涎ものいっぱい。水温0~1度、水深300m以下の海底と表層の津島海流が、年間を通じて豊かな海を支えています。
※香住黄金ガニとは、松葉ガニの雄と香住ガニの雌の間に生まれたとする黄金色が特徴のカニです。香住ガニの甘みに松葉ガニのうま味がプラスされ身もしっかり。大きなサイズのものは数万匹に1匹しか水揚げされません。
- (写真左)香住漁港(西港)のセリ市見学に行きました。毎年11月6日に冬の味覚の王者松葉ガニ漁が解禁になると翌3月まで、香住の町は大にぎわいです。
- (写真右)香ばしい匂いに誘われて「香住の干しもん屋“干市(かんいち)”」さんへ。谷祥一さんがアナゴ、ハタハタなど試食させて頂きました。思わず「ウマっ!」
“地球がまるごと大地と暮らしの博物館”を五感で楽しむ
町を流れる清流・矢田川の伏流水は鉄分が無く軟水のため、こちらの地酒はすっきりした味わいで海の幸と相性バッチリです。その他にも地球(ジオ)の内側から伝わる温泉の熱や日本海の荒波に浸食されてできた数々の奇石、洞門が連続する“大地の彫刻”を間近で見られる国指定名勝・香住海岸。さらに、この地の大地への畏敬の念が信仰の対象になったと言うパワースポットなど、訪れる人を飽きさせる事無く感動で包み込みます。これらは近くに集中しているので、景色をのんびり楽しみながらのドライブでも十分味わえます。秋深まる頃、絶景を楽しみ、美味に舌鼓を打ち、温泉にのんびり浸る旅はいかがですか。
- (写真左)創業1725年の「香住鶴酒造」さんで酒造見学。課長の黒田睦代さん、杜氏の松本幸也さんに案内され、古来より伝わる“生酛(生もと)造り”の秘技と最新の設備との調和を体感しました。
- (写真右)余部鉄橋から北へ。余部崎灯台方面の山道をオデッセイ アブソルートで軽快に駆け上る。高さ41m、全長310m余りの余部鉄橋の全景と美しい山と海が一度に見渡せる絶景ポイントです。
但馬の小京都「出石町」。城下町で味わう美しい町並みと歴史
出石町は、「古事記」「日本書紀」にも名前の見える歴史の古い町です。碁盤の目のような町並みは、まさに小京都。江戸時代の面影を色濃く残した情緒豊かな城下町です。出石の伝統工芸である出石焼はこの江戸時代中期に始められ、また、特産の出石皿そばは、信州上田藩の仙石氏がお国替えの際信州からそば職人を連れてきたのがはじまりとされています。
- (写真左)出石城跡前の登城橋にて。1604年までは背後の山頂にお城があったそうです。
- (写真右)出石皿そば巡りをするなら、巾着セットを買い求めるのがおススメ(1680円)。巾着に永楽通宝が3枚入っています。1枚でそば一人前(3皿)食事できるので38店舗の中からお気に入りを探してください。
伝統を伝える職人技と味のおもてなしに心が和む
車を降りてまず向かったのが、町のシンボルとも言える「辰鼓楼」。明治4年に旧三の丸大手門脇の櫓台に辰の刻(7時から9時)の城主登城を知らせる太鼓を叩く櫓として建設されました。時計台になったのは明治14年で現在は三代目です。
辰鼓楼を中心に南には出石城跡、東にはてっせん寺で知られる本覚寺、北に酒蔵(出石酒造)や柳細工を今に伝えるたくみ工芸、西には近畿最古の芝居小屋の出石永楽館などをぐる~り散策。そして、そば打ち体験のあとは待ちに待った出石の皿そばです。お腹が空いた後のおそばは、スルッとお腹の中に入り大満足の出石でした。
- (写真左)出石の町を見下ろす「辰鼓楼」。文字盤の大きさは直径2mもあります。
- (写真右)そば打ち体験は、教室ではなく“道場”。大粒の汗をかきながら厳しく指導してくださったのは、手打ち出石皿そば「入佐屋(いるさや)」のご主人片岡 徹さん。混ぜて、こねて、延ばして、切るだけなのになかなか難しい(泣)。気温や湿度に合わせて加水の量を調整してもらい、ここで店主の腕が冴え渡ります。これで一応私たち、“皿そば通”?
挽きたて・打ちたて・茹がきたての素朴なコシと風味。
出石そばは、小皿に小分けした独特のスタイル。出石焼の小皿に盛りつけた皿そばを何枚も食べる独特の様式です。五枚一組を一人前とし、薬味と徳利に入ったダシでいただきます。出石では食べ終えたお皿を積み上げ徳利の高さを食べると成人男性の一人前と言われています。カツオとコンブの濃厚なダシが特徴です。
出石皿そば たくみや
●営業時間/11:00~19:00(LO18:30)
●店休日/毎週水曜日
●TEL/0796-52-6363
●住所/兵庫県豊岡市出石町魚屋128
●駐車場:3台
美味しさで幸せになれる「カニの町」で、プリップリで濃厚な海の幸を。
全国でも有数のカニ漁獲量を誇る香住漁港。冬は松葉ガニ、秋から春は紅ズワイガニを厳選した香住ガニを夏以外ほぼ一年中楽しめます。お宿で頂くカニのフルコースはカニすき、焼きガニ、カニ刺し、カニ味噌、どんな料理でも最高の満足を得られます。写真は香住ガニのフルコース。
※11月6日からは松葉ガニのプチフルコース(1泊2食付1人22,000円が一番人気)
なごみの香風の宿「さだ助」
●TEL/0796-36-0772
●住所/兵庫県美方郡香美町香住区下浜634
●ご利用料金/1泊2食付き2名様~料金:16,000円~/人
※休前日・年末年始はお一人様1,500円増し
日本海を目の前に、至福のティータイム。
香住海水浴場前の小さなカフェ「海の見えるCafeプラージュ」さん。スイーツは優しさが伝わる全て手間ひまかけた手作り。写真上左手前炭焼ロール 400円、奥は紅イモモンブラン 480円。写真下はカニの甲羅を器にしたキトサンたっぷりのクラブチーズケーキ 500円。