
全国でも有数の日照時間の長さを誇る山口県東部
穏やかな日差しに誘われ柳井市と周防大島町を訪ねました
白壁の町に『金魚』が泳ぐ!?伝統の町の不思議な風景
柳井市は、山口県の東部瀬戸内海の室津半島のつけ根にあり、古くから海上交通の要衝の港町として栄えてきました。古墳時代から、源平時代、江戸、幕末と多くの先達がこの地を往来しています。特に江戸時代は、岩国藩の『御納戸』と呼ばれ商都として賑わいを見せたそうです。柳井市の『地域ブランド』の『金魚ちょうちん』が軒に吊るされた「白壁の町並み」は、室町時代からの町割りが今も残り、約200mの街路に面した両側に江戸の商家の家並みが続いています。町の中には、当時の面影を残す展示館や博物館・資料館がいくつもあり、また『金魚ちょうちん』作りも体験でき、のんびり散策が楽しい町です。
- (写真左)白壁の町に入ると、柳井市の民芸品『金魚ちょうちん』がお出迎えてくれます。
- (写真右)江戸時代の姿を見せる「白壁の町」
- (写真左)「ばさら窯」でも小さな『金魚ちょうちん』が。
- (写真中)当時の商人の暮らしぶりがわかる「国森家住宅」
- (写真右)江戸時代西日本屈指の商家小田家の屋敷「むろやの園」には11棟35室もの建物があります。
- (写真左)「やない西蔵」で、『金魚ちょうちん』作りを体験をしました。「まず尾ヒレに勢いのいい線を入れて、次に目を張って、、、。」と館長の中原 勝治さんに指導を受けました。
- (写真中)『金魚ちょうちん』をモチーフにしたオリジナルのノートやマスキングテープにキットカットまである「木阪賞文堂」
- (写真右)白壁の通りにひっそり佇む美しい小路「かけや小路(しょうじ)」。柳井川から荷揚げした産品を、表の通りに運んだ通路です。
- (写真左)「柳井市町並み資料館」は、明治40年(1907年)に周防銀行本店として建てられた建物。
- (写真中)2階は柳井市出身の歌手、故松島 詩子さんの記念館になっています。当時のレコードやポスター、愛用のピアノなどを展示しています。
- (写真右)「町並み資料館」から柳井駅に続く『麗都路(レトロ)通り』には、資料館を模した可愛いポストがありました。
歴史や伝統が詰まった『やない』 これは見逃せない物や景色
奥行きが南北に119mもの奥行き、面積が約800坪と国内に現存する町家で最大級の広さを持つ「商家博物館 むろやの園」。18世紀後半に建てられ江戸時代中期の豪商の家づくりがそのまま見られる「国森家住宅」。江戸時代後期の岩国藩主・吉川公に“甘露、甘露”と言わしめた「甘露醤油」の資料館。白壁の町から離れ、車で10分『やない美ゅーロード』を走ると4世紀末から5世紀初めに造られた全長90mの前方後円墳「柳井茶臼山古墳」が。さらに国道188号線を東へ向かうと、萩の吉田松陰と親交が厚く近代日本に大きく貢献した人物「僧 月性(げっしょう)」が開いた私塾「清狂草堂」と展示館。美しい瀬戸内海を眺めながら歴史を訪ねる贅沢ドライブです。
- (写真左)明治25年、地元の少年が不思議な穴を発見。発掘したところ鏡(単頭双胴怪獣鏡、古墳出土としては日本一の大きさ(直径44.8cm))や埴輪が出土した「茶臼山古墳」
- (写真中)古墳の上には埴輪が並んでいます。
- (写真右)資料館には、発掘品や古墳の歴史などが展示。
- (写真左)長州藩の維新の志士の学び舎は、西の「村塾」、東の「草堂」と言われた「清狂草堂」
- (写真中)隣接する「月性展示館」
- (写真右)日本三大潮流の「大畠瀬戸」。
- (写真左)甘露醤油は、200年前に柳井で生まれました。二度仕込むという独特の製法で、時の藩主吉川公にも愛されたとされます。こちらの佐川醤油蔵でも伝統の味を守り続け、醤油蔵の一部を観光醤油蔵・甘露資料館として公開しています。
- (写真中)蔵の外では、地下70mから組み上げられる仕込み用の地下水も試飲できます。
- (写真右)お刺身にとっても相性のいい『甘露しょうゆ』。左55oml(1, 000円)、右300ml(690円)。お土産に最適です。
- (写真)かつては畑での栽培は不可能と言われていた『自然薯(じねんじょ)』の栽培に成功させた「政田自然農園」さんを訪ねました。以来、柳井市は『じねんじょ栽培発祥の地』として全国に知られるようになりました。社長の政田 健太郎さんに、1978年販売開始以来1,300万本を突破したという長芋用クレバーパイプのお話をしていただいたり、自然薯の種芋を見せていただきました。
163年前の移民からつながる 周防大島町とハワイとの驚きの関係
「片添ヶ浜海浜公園」は、海水浴場と一体となった島東部の公園でハワイのカウアウ島のような白い砂浜が広がっています。道路沿いにはヤシの木が並び、明るい日差しを浴びると、もうそこは常夏ハワイ!オートキャンプ場やコテージ、テニスコート、宿泊施設、温泉施設があり、夏だけでなく通年型のリゾート地として人気です。国道437号線沿いには本場ハワイ仕込みのシェフによるハワイアンレストランもあり、瀬戸内のハワイを満喫できます。他にも、1943年に周防大島の伊保田沖で謎の大爆発を起こし沈没した戦艦陸奥の遺品や資料を展示した「陸奥記念館」もあります。
- (写真左)「グリーンステイながうら」は “瀬戸内のハワイ”をイメージしたリゾート施設。レストラン、ログハウス棟、テニスコート、などがあり随所で椰子の並木がそよ風に揺れています。写真は、カウアイ島の市庁舎をモチーフに作られたビジターセンター。
- (写真中)7月から8月の期間の毎週土曜日は、島内随所で『サタフラ』ことサタデーフラが行われます。
- (写真右)大島を貫く“絶景ロード”、全長40kmの「大島オレンジロード」。
- (写真左)周防大島からハワイへは、実に3913人が移民しています。今は彼らの孫たちは5世・6世に及んでいます。その様子が見られるのが、一見、ハワイとは全く結びつかない山間にあるお屋敷です。こちらは、明治から大正時代にサンフランシスコで成功された大島出身の故福元長右衛門氏が昭和3年に故郷に立てたお屋敷で、現在は「日本ハワイ移民資料館」として活用されています。写真は、福元家の台所で帰国者が持ち帰った台所用品などが展示。
- (写真中)移民たちの労働や生活の様子を知る『移民たちの労働と生活コーナー』。
- (写真右)日系2世の中村一三さんが寄贈された資料を展示、当時の移民の様子がわかります。
- (写真左)「巌門」と呼ばれる奇岩。海水の浸食によりくりぬかれ穴となり、岩の門のようになっています。
- (写真中・右)「巌門」前の安下庄湾で、元気にオールを漕いでいた県立周防大島高校ボート部の皆さん。明るく元気な表情がとっても気持ちよかったです。
ヤシの木の向こうの穏やかな海 いつの間にか時間を忘れるひと時
「片添ヶ浜海浜公園」は、海水浴場と一体となった島東部の公園でハワイのカウアウ島のような白い砂浜が広がっています。道路沿いにはヤシの木が並び、明るい日差しを浴びると、もうそこは常夏ハワイ!オートキャンプ場やコテージ、テニスコート、宿泊施設、温泉施設があり、夏だけでなく通年型のリゾート地として人気です。国道437号線沿いには本場ハワイ仕込みのシェフによるハワイアンレストランもあり、瀬戸内のハワイを満喫できます。他にも、1943年に周防大島の伊保田沖で謎の大爆発を起こし沈没した戦艦陸奥の遺品や資料を展示した「陸奥記念館」もあります。
- (写真左)「リーゾートホテル サンシャインサザンセト」から見える朝日。瀬戸内の海が曙色に染まり、島々がおぼろげに浮かび上がります。少し早起きして是非見ていただきたい景色です。
- (写真中)椰子の並木が美しい海水浴場。山口県内では、最も早い6月下旬には海開きを迎えます。
- (写真左)ホテルでは、電動アシスト自転車もレンタルできます(2時間1台1,000円)。
- (写真右)海岸に佇む美しい「サンシャインサザンセト」。
- 戦艦陸奥が沈没した後、昭和53年までに深田サルベージにより将兵の遺骨や遺品とともに主砲などの船体の75パーセントが引き揚げられました。「陸奥記念館」では、恒久平和の殿堂として引き揚げられた遺品や艦の一部と遺族から寄せられた貴重な資料が展示されています。総員1471人、うち死者1121人、生存者わずか350人と言う大惨事に思いをはせると今更ながら平和の尊さを感じずには入られません。
- (写真左)行列のできるレストランがあると聞いて訪ねたのは、本格的ハワイ料理の「アロハオレンジ」さん。右は、超レアなステーキの丼『ギャング丼』(M:1800円)左がハワイアンパンケーキ(Double1200円)。
- (写真右)とにかく明るいスタッフの皆さんでした。
美しい瀬戸に浮かぶ島々を眺めながら“星野えん歌”に存分に触れる
小林旭「昔の名前で出ています」、都はるみ「アンコ椿は恋の花」、鳥羽一郎「兄弟船」、渥美清「男はつらいよ」、水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」と言えば日本を代表する歌謡曲・演歌。これらの歌を作詞したのが、周防大島出身の『星野哲郎』です。創作した作品は実に4,000を超え、数々のヒット曲を世に送り出してきました。「星野哲郎記念館」は、氏の歩みや曲を様々な手法で紹介しています。
- (写真左)「星野哲郎記念館」は、美しい瀬戸内海を望む海辺にあり、幾何学的なデザインの洗練された建物です。館内は、幾つかのコーナーに分かれ星野哲郎の世界が展開されています。
- (写真右)星野哲郎は大正14年に周防大島で生まれ、子供の頃から憧れていた高級船員を目指し高等商船学校(現・東京海洋大学)に入学。その後、船員になるも、2年後に肝臓結核を患い闘病生活に。その後、雑誌『平凡』の募集歌に入選したのをきっかけに作詞家の道に入りました。
- (写真左)“星野えん歌を聴こう!”と題した『演歌ボックス』があり、波穏やかな瀬戸内の海を眺めながら作詞した演歌を聞けます。
- (写真中)『星の工房』の一角には、若き日の星野が仲間たちと通い詰めた新宿“さくらい”が復元されています。
- (写真右)『星の劇場』では、ワイド3mの大型スクリーンに5面マルチ映像で星野作品を大迫力で映し出し、星野哲郎の世界を全身で体感しました。
江戸時代から伝わる郷土料理をじんわりいただく 洋菓子屋さんの会長が作った窯の工房茶屋
お店の名前「ばさら窯」は、お店の辺りの地名“馬皿”にある窯という意味です。山口県では知らない人がいないという地元の銘菓『月でひろった卵』を製造販売する「果子乃季」さんの会長・坪野功氏が趣味で作った工房です。こちらの工房で、江戸時代から柳井地方に伝わる郷土料理『茶がゆ』を趣のある風景の中でいただきました。
- 茶がゆは、米をほうじ茶でコトコトと炊き上げます。米の甘さと香ばしいほうじ茶のシンプルで素朴な味わいは、ほっこりとした気持ちにさせてくれます。
- お土産コーナーは天井からたくさんの『金魚ちょうちん』が。 「ばさら窯」の隣は、「果子乃季」さんの店舗と工場があります。土屋美紀さんに案内され工場見学。職人さんたちが青いゴム手袋をしているのは何故?なんて楽しいクイズもありました。
果子乃季・ばさら窯
住所/山口県柳井市柳井5275(中馬皿)
お問合せ/0820-22-0757
営業時間/9:00~17:00(お食事10:30~16:30) 工場見学は、事前にお電話ください( 9:00~17:00)
休業日/水曜日 料金/茶粥セット 1080円~ 茶がゆ・煮しめ・漬け物盛り合わせ・デザートのセット
白壁の町の居心地のいい雰囲気で地元産品を堪能 店主の意気込と繊細な技が光る和食処
白壁の町にしっくり溶け込むシックな佇まいのお店「四季旬菜 蔵や」さん。店主で料理長の濱本憲次さんが、地元の漁師さんから直接仕入れた新鮮な地魚や野菜も市内の農家から直接仕入れておられます。丁寧に盛り付けられたお料理は、見ているだけでもご馳走です。新鮮で安心、安全がモットーという心意気が嬉しいお店です。
- (写真左)蔵やの『満足パック』(飲み放題付き5,000円税別)。カマンベールチーズの茶碗蒸し、白壁豆腐、バジルポラカラなど独創性あふれる前菜9種盛り、スナックエンドウ豆の豆乳グラタン、アジ・鯛・とり貝・イカなどの作り盛り合わせ。さらに鴨鍋、天茶漬けなど美味しさ満載です。
- (写真中)濱本料理長の楽しいお話もご馳走様でした。
- (写真右)白壁の町にふさわしい落ち着いた佇まい。
四季旬菜 蔵や
住所/山口県柳井市柳井津437
お問合せ/0820-23-3998
営業時間/【ランチ】 11:30~13:30(L.O.) 【ディナー】17:30~22:00(L.O.)
休業日/水曜日
採れた場所、時期で個性を発揮するジャム ここでしか出来ないヴィンテージジャムのスイーツ
周防大島を走る国道437号線の中ほどに「瀬戸内ジャムズガーデン」さんがあります。奥様の出身地元で、京都出身のご主人の松島匡さんが始めたジャム工房です。地域の価値を気づきそこで事業を展開しようと始めたそうです。四季折々の旬の果物を使い、すべて手作りでこの島でしか出来ないジャム作りにこだわり続けています。
- (写真左)写真手前は、温めたマーマレードジャムでチョコレートを溶かしていただく『マーマレードでとろける春いちごのサンセットミフフィーユ(890円)、奥が生地がもちもちの『春色いちごとクルミのスイーツピッツア(980円)』。
- (写真中)地元愛あふれる店主の松島さん。
- 色とりどりのジャムがずらり。年間180種類のジャムを作るそうです。試食も常時約20種試せます。
瀬戸内ジャムズガーデン
住所/山口県大島郡周防大島町日前331-8
お問合せ/0820-73-0002
営業時間/10:00~18:00(冬期は10:00~17:00)
休業日/定休日/水・木(木曜はジャム販売のみ営業)
星降る島の海辺のホテルの極上レストラン 豪華絢爛の名物料理を見て、食べて味わう
片添ヶ浜海浜公園に隣接する「サンシャイン サザンセト」は、海まで30mというリゾートホテルです。オーシャンフロントのレストランは、それだけで特別な感じがします。海を眺めながらのディナーは旅の疲れを癒す至福のひと時です。島の名産『太刀魚の鏡盛り』は、豪華絢爛な盛り付けでそんな気持ちに応えてくれます。
- 『太刀魚の鏡盛り』は、まず旬の柑橘に塩を絡めて上からポンポンと叩き太刀魚の皮を引き締めます。次に皮を鍛えるためにバーナーで焼き入れをします。そうすることで太刀魚の皮の旨味が引き立つのです。とは、ホテルの嶺 潤一郎さん。
- (写真左)オーシャンビューのデッキでの〜んびり。
- (写真中)リゾート気分が高まるホテルのエントランス。
- (写真右)星空が美しい周防大島。夜はデッキで天体観測もできます。