
四国の終着駅とも呼ばれる「宇和島」で出会った、
歴史、文化、自然美、そして人々の営みは意外な驚きに満ちています。
こんなの見た事ない!思わず口をついてしまうほどの段々畑。よくこんな場所で(失礼)作物を育てられるものか、と感動を覚えます。平成19年には国の「重要文化的景観」の選定を受けています。頂上付近まで登ると水荷浦湾の青い海、そこに浮かぶ養殖いかだの眺めはまさに絶景です。
人々の努力の積み重ねが作り出した壮観な造形美
四国の西南に位置する宇和島市の三浦半島には、約400年前に始まったと言われる「遊子水荷浦の段畑(ゆすみずがうらのだんばた)」があります。天と地と海のはざまで今も生きる古くからの営みを訪ねました。傾斜30度を超える急傾斜地に開墾された段畑を眺めると、どれだけの先人の汗がしみ込んでいるのかと驚愕の思いにとらわれます。
- (写真 左)「耕して天に至る」と形容される段々畑は幅・高さとも1mほどの石垣が山頂まで続いています。急な斜面は苦労して拓いてきた歴史の重みを語りかけてきます。現在は馬鈴薯(じゃがいも)が栽培され、春に収穫されます。
- (写真 右)この段畑のオーナーは今や全国的ですよ、とNPO法人「段畑を守ろう会」の女性部リーダーの山内満子さん。
景観を楽しみながらのドライブは、また新鮮な驚きの連続
宇和島市の三浦半島は、リアス式海岸としても知られています。屈曲に富んだ海岸線をのんびりドライブすると、その景色の美しさに声を失うほどです。波穏やかな入り江に鮮やかなコバルトブルーの海が映え、潮の香りとともに忘れがたい情景が続きます。無数に浮かぶ幾何学模様の養殖いかだが整然と浮かんでいます。古くから受け継がれてきた半農半漁の暮らしぶりがうかがえます。また穏やかな遊子湾(内海)とその外側の荒々しい宇和海(外海)では、養殖される魚も異なり(内は鯛、外はハマチ)、海の表情の違いもこの海岸ならではの見所です。
- (写真 左)水荷浦から、さらに岬の先端に進んでいくと「細木運河」があります。もとは繋がった半島。
- (写真 右)三浦半島の先端付近。リアス式の海岸と宇和海に浮かぶ島々のコントラストが美しい。
伊達家の歴史の息づかいが今も残る城下町
伊達十万石の城下町、宇和島市。全国に現存する12天守の一つで国の重要文化財の「宇和島城天守」の周りには様々な見所がそろっています。伊達家7代当主の宗紀が庵を結んだ「天赦園」や歴代藩主の薫り高い文化遺産約4万点が展示されている「伊達博物館」。初代秀宗の総奉行となるも、不慮の死に見舞われた山家清兵衛を祀った「和霊神社」など、ドラマチックな歴史に触れ合えました。
- (写真 左)「天赦園」は、長寿で知られた七代藩主宗記(号春山)が作った大名庭園。藤、花菖蒲、竹が随所に見られる庭園も見事ですが、庭園からお城を眺めると長生きできるかも。
- (写真 右)天赦園では伊達家の家紋「竹に雀」にちなんで19種類の竹や笹があります、と事業部長の二宮信彦さん。
とびっきりがいっぱい、丸ごと宇和島を楽しむ
澄んだ海と太陽をいっぱい浴びた山のある宇和島市はまた、食の宝庫でもあります。そんな幸をずらり揃えたのが「みなとオアシスうわじまきさいや広場」。“きさいや”とは“来てください”と言うこちらの方言。いつも新鮮なものが楽しめるようで、訪れた平日にもかかわらずお買い物客でいっぱいでした。
- (写真 左)鶴 島城と呼ばれる秀麗な姿の「宇和島城天守」。築城の名手藤堂高虎によるこのお城は、二代目藩主宗利が1666年頃に完成させました。
- (写真 中)漁業を中心に産業の神として中四国で崇められている和霊信仰の総本山「和霊神社」。正面には石造りでは日本一の大鳥居がそびえていました。
- (写真 右)「伊達博物館」では250年あまり宇和島を治めた歴代藩主の武具甲冑や古文書が展示されています。またその豪華な婚礼調度、衣装などにも目を見張りました。
歴史と出会い 未来へと歩む 城下町
今回訪れた宇和島市は、仙台藩祖伊達政宗の長男秀宗公が入部して400年という節目を迎えます。
これを記念して、伊達十万石の城下町として栄えてきた宇和島市の歴史や文化、伝統の魅力を発掘・再発見していただこうと、11月まで市内各地で記念事業が催されます。
自動車道も整備されていますので、是非お出かけください。
【お問合せ先】
宇和島伊達400年祭実行委員会(宇和島市企画情報課内) / 0895-24-1111(内線2570)
風土が生んだユニークな味わい
自然の味が生きている郷土料理
多彩なメニューや調理法、味付けを楽しめると言う事でお伺いしたのは、「ほづみ亭」さん。新鮮な鯛を卵入りの醤油ダレに漬けあつあつご飯にかけた“鯛めし”や千切りにしたこんにゃくをそぼろなどの素材で盛りつけた“ふくめん”、ピリリと辛い酢みそでいただく“ふかの湯ざらし”、さらに太刀魚の巻焼など、宇和島の郷土料理を堪能しました。是非地元以外の人に味わって欲しいと、女将さんの妹さんでアメリカで通訳をされていた神崎輝美さんにプレゼンしてもらいました。
ほづみ亭
住所/宇和島市新町2-3-8
お問合せ/0895-22-0041
営業時間/11:00~13:30、17:00~22:30 L.O.21:30
定休日/日曜日、連休最終日
がいに旨い!!宇和島の自慢料理!!
もっと宇和島の味を楽しみにきたのが「きさいや広場」の中にある“食のひろば”。郷土を代表する4店舗が出店し味を競っています。写真は手前が「わびすけ」の宇和島ちらし(880円)。奥は「かどや」の宇和島ちゃんぽん(750円)。
きさいや広場 食の広場
住所/宇和島市弁天町1-318-16
お問合せ/0895-22-3934
営業時間・定休日/(ほづみ亭)10:00〜19:00、月曜日
(かどや)10:00〜18:00、木曜日 (わびすけ)10:00〜18:00、火曜日
(ピザオアシス)13:00〜20:00、定休 月曜日
時間を忘れるオシャレなカフェ
お口直しに立ち寄ったのは、郊外にある「カフェバニラ」さん。店主の人柄なのでしょうか、お店に入るとかわいい絵本や雑貨がいたるところに並べられてます。静かな店内は居心地がよく、半日居る人はザラだとか。
写真左から、ベリーベリーベリーワッフル(700円)、レッドベリースムージー(800円)、リンゴのスムージー(680円)、プレーンシフォンケーキ(400円)。
カフェ バニラ
住所/宇和島市中沢町2-3-7 お問合せ/0895-26-2626
営業時間/9:00~22:00 L.O.21:30
遊子の元気印!漁協組合女性部のまかない飯!!
段畑を案内して頂いた山内さんは実は、遊子の漁協組合女性部の部長さん。そんな縁で組合内にある会議室で、漁師さんのまかない飯を振る舞って頂きました。お腹いっぱいの量、味、雰囲気でした。