
全長196km。日本最後の清流と呼ばれる四万十川。
幾つもの支流を集め高知県西部の山々を縦横無尽に流れています。
その中流域に窪川・大正・十和の三地区からなる春真っ盛りの四万十町を訪ねました。
町の端から端まで43.7km!
四万十川には、驚き、癒し、そして感動が溢れていました。
四万十町は2006年に旧窪川町と旧大正町、旧十和村が合併した町です。淡路島の面積が592.6km2に対し、それをしのぐ642.1km2もある広大な町。自然を基調に三つの地区がそれぞれ独特の文化や歴史を持ち、奥深い感動に出会えます。代表されるのが四万十町の特産品の数々。恵まれた自然条件が育んだ山のもん・川のもん。伝統の生育法で高い評価を受けている「窪川ポーク」。大正地区では、清流の仕込み水を利用して作る本格栗焼酎「ダバダ火振」。十和地区では、手摘みの一番茶だけを使った「しまんと緑茶」。また標高230mの台地で作られる「仁井田米」は全国米食味分析鑑定コンクールで特別優秀賞に輝いたほど。各地のプライドが引き立て合い四万十町の魅力を作り上げています。ドライブすると、鳥声や風の音、川のせせらぎが耳に飛び込んできて車を止めて深呼吸したくなります。山が新緑に染まる4月中旬から初夏にかけては、5月3日の「こいのぼりの川渡し」や5月中旬からは「下津井のほたる鑑賞」もあり、これから旬を迎える四万十町は楽しみにあふれています。
- (写真左)大正地区にある「旧竹内家」は土佐地方の山村農家の民家で、なんと18世紀後期の建物と言われています。草葺き平屋で国の重要文化財に指定。土を使わない茅壁は珍しい。
- (写真中)轟公園入り口手前には「四万十ヤイロチョウの森・ネイチャーセンター」があります。高知県や四万十町の鳥に指定されている森の妖精『ヤイロチョウ』や地域の森や水辺の生き物を学習する施設です。写真は樹齢600年の大栗の根株。
- (写真右)窪川地域にある「岩本寺」は四国霊場第37番札所。昭和53年に新築の際、全国から公募した花鳥風月から人間曼荼羅まで、575枚の絵が天井を彩っています。仏像からマリリン・モンローまであり、見とれていると首がだるくなります。
- (写真左)JR予土線の「土佐大正駅」は、昭和49年建築時の姿をそのまま残す山小屋風の駅舎です。上下線とも1日に7本しか止まりませんが、思わずシャッターを切りたくなるスポットです。
- (写真中・右)大正の商店街の中に「四万十川焼酎銀行」と聞きなれない名前の建物が。こちらは(株)無手無冠(むてむか)さんが、銀行の施設を譲り受けお金ならぬお酒を生業とした銀行。『預貯酎 栗75%』と言って栗焼酎の口座を開く(焼酎を預ける)ことができます。通帳や利息もちゃんとありますよ、と橋本琴恵さん。
- (写真左)国道381号線沿いにある「轟公園」内には、大きな「石の風車」があります。重い石の風車が、山あいを流れるそよ風でもゆったり回る様はいつまでも見ていたい気になります。
- (写真中・右)国道56号線沿いに見えてきたのが大きな水車。こちらは「水車亭」と書いて『みずぐるまや』と言うお店です。四万十川域の自然の素材を原料としてお菓子を製造販売しています。特に『芋ケンピ』は病みつきになる味と全国から好評を得ています。(芋けんぴ200g378円、塩けんぴ200g378円)
- 高知県四万十町打井川にあるミュージアム「海洋堂ホビー館四万十」は、海洋堂の歴史とコレクションを集大成するミュージアムです。大阪市守口市でわずか1坪半の模型店「海洋堂」を始めた高知県大方町(現黒潮町)出身の現館長の宮脇修さんが、フルタ製菓「チョコエッグ」の爆発的なヒットなどを経て、故郷に近いこの地に作りました。貴重なフィギュアが展示されマニア垂涎必至です。
- こちらは「海洋堂かっぱ館」。知っているけど見たことない日本列島の中に生息している妖怪『かっぱ』。かっぱフィギュアコンテストで集まった『かっぱ』がうようよ。怖〜いかっぱから可愛いかっぱまでいて、意外にも(失礼)新鮮な感動です。
くねくね曲がる四万十川に架かる橋、橋、橋
多彩な表情を車窓から、空からご覧ください。
数多くの支流と合流しながら蛇行し大河になっていく四万十川は、変化に富んだ渓谷や森林の景勝がたくさん見られます。中でも台風銀座と言われる高知県ならではの生活の知恵が息づいているのが「沈下橋(ちんかばし)」です。橋桁を低くして、水が増えると川の中にその姿を沈め抵抗を弱めます。現在では河川構造設置基準に抵触するため新たに作ることはできません。四万十町内には四万十川本流だけで10の沈下橋があります。上流から下流へ訪ねてみると、その一つ一つに個性的な表情があり歴史があり、行ってみないとわからない感動に出会います。突然JRのトンネルから鉄橋へ抜ける列車と平行に走る「第一 三島橋」。車は通れませんが夏には子供達の水泳場となる「一斗俵沈下橋」。加山雄三夫妻が訪れた「茅吹手沈下橋」など全国に知られるものもあります。また、沈下橋以外にもトロッコ列車の軌道橋として昭和19年に作られた「下津井めがね橋」のノスタルジックな姿などがあり、橋を訪ねるだけでも思い出に残る旅になります。ARで空からの姿も是非ご覧ください。
- (写真左)「第一 三島橋」を渡った中洲では一面の菜の花畑が咲き誇っていました。
- (写真右)四万十川の西岸から中洲へ渡る全長77mの第一沈下橋(「第一 三島橋」)は、大正地区から十和地区に向かう県道381号線沿いの昭和地区にあります。JR予土線と並行していて、全国的にも珍しい鉄橋と沈下橋の饗宴を楽しめます。JR予土線のトロッコ列車「しまんトロッコ」はこの辺りで一旦停車します。
- (写真左)「第二三島橋」第一の反対側から中洲にわたる沈下橋。
- (写真中)「下津井めがね橋(佐川橋)」津賀ダムの湖畔に映る姿がめがねのように見えます。
- (写真右)めがね橋から見た津賀ダム湖にかかる「下津井橋」この辺りから出る遊覧船で見る蛍狩りは見ものです。
- (写真左)「一斗俵(いっとひょう)沈下橋」四万十川に現存する沈下橋の中で最も古い。
- (写真右)「茅吹手(かやぶくて)沈下橋」平成9年のJRのフルムーンポスターで採用され加山雄三夫妻がロケに訪れました。
12月25日まで、高知県の高幡広域5市、須崎市・中土佐町・四万十町・梼原町・津野町で「奥四万十」の魅力を発信していきます。そちらにもぜひ足をお運びください。と、広大な四万十町をくまなくアテンドしてくださった商工観光課の平野さん。お世話になりました。
食材の宝庫に大満足
道の駅にある農家レストラン
「道の駅 四万十大正」は、国道381号線と439号線の合流地点にあり、ドライブ休憩にもってこいの場所。館内には田舎の手作りの食品や地元の特産品などが揃っていますが、オススメは農家レストラン「であいの里」。地元の肉厚の椎茸にシイラのすり身を挟んで土鍋で蒸していただく「しいたけ丼」や『四万十ポークどんぶり街道』であるこのお店でいただく「カツかっぱ丼」は美味しさボリューム満点です。
- (写真左)手前から、しいたけ丼720円(期間限定ですが6月頃まで食べられます)、カツかっぱ丼830円、山菜うどん570円、うなぎの石焼まぜご飯830円
「道の駅 四万十大正」
農家レストラン「であいの里」
住所/高知県高岡郡四万十町大正16-2
お問合せ/0880-27-0088
営業時間/9:00~17:00
休業日/年中無休 (12月31日~1月2日は休業)
ドライブに疲れたら
田舎自慢の料理でリフレッシュ
十和地域の山の幸、川の幸などこの地ならではの自然の恵みを楽しめるということで訪れたのは、「道の駅 四万十とおわ」にある「とおわ食堂」。四万十川の天然鮎、天然川エビ、椎茸や山菜全て生産者の顔が見える安心・安全な素材を昔ながらの手わざで作った料理を堪能しました。目の前には、四万十川の美しい流れを楽しめます。食事の後は敷地内の「おちゃくりcafé」の栗のスイーツでほっこりしました
- (写真左)手前:春のとおわ かご膳1,300円(5月いっぱい)、奥右:しまんとなばなパスタ(4月からはオムライスになります)、奥左:野菜たっぷりカレー1,080 円
- (写真右)しまんとモンブラン500円、3種タルト500円、しまんと紅茶(ホット・アイス)各350円
「道の駅 四万十とおわ」 とおわ食堂
住所/高知県高岡郡 四万十町十和川口62-9 お問合せ/0880-28-5421
営業時間/モーニング 9:00 ~ 10:30 ・ ランチ 11:00 ~ 16:00 (LO15:30)
休業日/水曜、毎月最終日曜日(全館定休日あり)
おかみさん市バイキングのみ営業(営業時間/11:00~14:00)
「道の駅 四万十とおわ」 おちゃくりカフェ
お問合せ/0880-28-5528 定休日/木曜日
営業時間/平日 11:00 ~ 15:00 ・ 土日祝 10:00 〜 16:00
江戸時代から知られる霊泉の後は
四万十町のおもてなしに感激
窪川地区中心から県道19号線の山道を登っていくと四万十川の源流のひとつ、日野地川が流れる山里にオシャレなホテルがあります。美人の湯としても知られ、温泉はヌルヌルとした泉質が特徴です。日帰り入浴もできます。露天風呂では、日野地川の清流のせせらぎを聞きながらのんびり。温泉をいただいた後は、お待ちかねの夕食です。鮎や天然うなぎや窪川ポーク米豚のもっちりした美味しさは勿論でしたが特産の「仁井田米」の香りでお箸がどんどん進みました。
- (写真左)四万十の鰻会席(2名様から お一人1泊2食付
- (写真右)ホテル松葉川温泉の前を流れる日野地川にかかるつり橋「つづら橋」