
鳥取県の最東端にある「岩美町」は兵庫県に隣接する人口約12000人の風光明媚な町です。
この町は「山陰海岸ジオパーク」の一部であり、源泉かけ流しの「岩井温泉」があり、松葉ガニ漁獲量日本一※を誇る海の幸の宝庫でもあるのです。
※平成25年度市町村別漁獲量
浦富海岸は、山陰海岸ジオパークに含まれ、洞門、洞窟、白砂の浜など様々な地形が見られるところです。文豪島崎藤村も絶賛したという景勝地として知られています。中でも、浦富海岸の絶景ポイントの代表格が「菜種五島」。高さ60mの菜種島には4月中頃に野生の菜の花が咲き誇ります。江戸時代に菜種を積んだ北前線がこの付近で座礁したことで咲くようになったそうです。城原海岸の展望駐車場からがおすすめ。
約2500万年前の地殻変動が作り出した美しい海岸、そこに息づく文化を楽しむ
岩見町
鳥取県岩美町は、世界ジオパークネットワークに加盟した山陰海岸ジオパークの一部となる「浦富(うらどめ)海岸エリア」と山陰最古級の源泉かけ流し温泉「岩井温泉エリア」に分かれます。浦富海岸は鳥取砂丘から続く海岸で、日本海の荒波によって形作られた壮大な海食地形が見られます。訪れる人はその美しさに必ず驚き、そして透きとおった海水を覗き込んで息を飲みます。一年中旨い魚に出会える町としても知られ、太古の昔より生活の場として多彩な文化や歴史も残っています。網代(あじろ)漁港と田後(たじり)漁港の二つの漁港からは春は「もさえび」、夏は「白イカ(ケンサキイカ)」、秋は「するめ」冬は「松葉ガニ」が毎日荷揚げされています。それだけでも魅力あふれる町ですが最近では宝島社の「2016年版住みたい田舎ベストランキング」で総合1位を獲得しており、IターンやUターンの人がカフェや美術館などを運営していて活き活きとした面もある素敵な町です。
- (写真左)「西脇海岸」では、「寝覚めの佳境」とも称される小さな島々と透きとおった海の美しさに見とれます。
- (写真中)「東浜海水浴場」を歩くと、俗化されてない素朴な風情に心が洗われます。
- (写真右)東浜海岸で見つけたちょっとファンキーなカフェ「ALOHA」で一休み。海水浴やサーフィンのお客さんだけでなく、野菜を持って地元のおじいちゃん、おばあちゃんも毎日のように集まってくるそうです。
- (写真左)田後(たじり)公園からは「田後港」が一望できます。TVアニメ『Free!』の舞台で“聖地巡礼”の女性ファンが絶えません。
- (写真中)江戸時代から400年漁業一筋で生きてきたという田後の町。何代にもわたって漁業を営んできたという一家は珍しくありません。写真のイカ釣り船もそんな漁師さんのものなのでしょう。
- (写真右)田後の集落にある家は、肩を寄せ合いながら静かに佇んでいます。迷路のような路地を付近にお邪魔しないように歩くのも一興です。
- (写真左)大正元年に完成した「網代(あじろ)隧道」。車1台通るのがやっとですが、当時は崖を通るしかなく開通時の喜びが偲ばれます。
- (写真中)国道9号線沿いに昨年7月に出来たばかりの「道の駅 きなんせ岩美」を訪ねました。「きなんせ」とは鳥取弁でおいでくださいの意味です。いきなり「松葉ガニ漁獲量日本一」の看板と大きな置物。被り物もあったので二人でピース!
- (写真右)「きなんせ岩美」では、新鮮な水産物、農産物やお菓子、民芸品などもあり活気に満ちていました。季節によっては全国に誇る松葉ガニもドガッとあるそうです。
- (写真左・中)岩美町牧谷で訪ねたのが、「モトフサ現代美術館」。岡野元房さんが東京の工房で活動後、地元にもどり民宿を改装し美術館を作ったそうです。動画、絵画、オブジェなど常時100点を超える作品が見られ田舎ならではのゆったりした配置に圧倒されます。
- (写真右)同じく牧谷地区にある「山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館」では、『山陰海岸ジオパーク』の魅力をさまざまな資料や映像で紹介しています。
どこまでも透き通る海、そこに浮かぶ白亜の大小の島々・奇岩に心奪われるひと時
浦富の魅力発見は何と言っても海上から!と乗り込んだのが、「浦富海岸島めぐり遊覧船」。こちらには95人乗りの遊覧船と12人定員の小型船「うらどめ号」があります。今回は波が穏やかだったので小型船で、男性的でダイナミックな海岸を堪能しました。遊覧船では通れない狭い航路を通り、洞門や洞窟、水深の浅い入江にも入ります。次々と現れる絶壁や美しい島々に眼をみはるばかりでした。船長のマイクを通してのガイドも聞き逃せません。
- (写真左)「うらどめ号」は、窓がなく開放感たっぷり。洞門や洞窟に入っていったり島や岩の間を縫うように進みます。
- (写真右)この洞門は、昔たくさんの岩燕が天井に巣をかけていたところから「岩燕洞門」と言われます。この洞窟を「うらどめ号」で中に入ります。海底まで透き通った神秘の世界です。
- (写真左)鴨ヶ磯あたりでは、箱メガネで海中観察。海底までくっきり見えました。
- (写真中)遊覧船乗り場から海へ出るまでの蒲生川河口では、カモメの大群がお出迎え。船から投げるエビせんに群がってきます。
- (写真右)下船後は乗り場の中にある「あじろや」さんの“イカ墨ソフト(300円)”が最高!
鳥取砂丘
鳥取県のシンボル「鳥取砂丘」には年間130万人もの観光客が訪れます。パラグライダー、サンドボードや遊覧ラクダなどのアクティビティに加え、レストランや美術館などもありゆっくり楽しめます。日本最大級の砂丘を歩くもの貴重な体験ですが、周囲に眼をやればいたるところに「らっきょう畑」があることに気がつきます。10月下旬のらっきょう畑は一面赤紫のお花畑になります。また近くには梨狩り園もあり9月まで楽しめますので是非。
- (写真左)鳥取砂丘近くにある「砂の美術館」。そのスケールの大きさに圧倒されます。世界各国の作家が作った世界最高レベルの「砂像」が展示されています。人物の表情や精巧さを見ると、砂で出来ているなんて信じられません。1回の展示に約2600トンの砂を使うんですよと、館長の下沢さん。
- (写真右)砂丘の望む絶景スポットは鳥取ゴルフ倶楽部の中にありました。
昭和初期の鉄道風景が今に残る近代化遺産「若桜鉄道」はおもしろい。
若桜町
鳥取砂丘や岩美町を訪ねたら是非立ち寄っていただきたいのが、「若桜(わかさ)鉄道」。
八頭町の「郡家(こおげ)駅」と「若桜駅」間(19.2㎞)を9つの駅で結ぶローカル線です。昭和5年開通以来の面影を残し、その沿線施設は国登録有形文化財となっています。
- (写真)「若桜駅」には、人力で回転させる“機関車の転車台”、終着駅の機能であった“給水塔”、除雪された雪を流す“流雪溝”など鉄道マニアならずとも大人から子供まで楽しめます。(駅構内入構料 大人300円)
- (写真左)「安部駅」は、平成3年に映画「男はつらいよ〜寅次郎の告白〜」のロケ地になりました。駅ホームの待合室には、寅さん案山子が座っていました。
- (写真中)駅本屋とプラットホームは昭和4年の建築という「隼駅」。
- (写真右)「若桜駅」構内には本物のSL『C12型蒸気機関車』が。月2回程度走行日があります。
神話の故郷で出会った、つつましく心豊かな旅情
平安時代の開湯から千二百年の山陰最古級の名湯「岩井温泉」は、浦富海岸から約5㎞の山間にあります。「源泉かけ流し」の温泉で“古き良き日本の温泉”があります。宿は3軒しかありませんが、それぞれの宿には趣の違う温泉があり訪れる人を楽しませてくれます。今回お世話になったのは「岩井屋」さん。夕食は「岩ガキ付きコース」をいただきました。工夫を凝らした前菜に始まり、勘八や白烏賊のお造り、紅芋の饅頭、そしてビッグな岩牡蠣のお造り、因幡牛のステーキなど旬の食材にこだわったお料理をゆったりした時間の中で味わって大満足でした。
- (写真右上)日本の百名湯にも選ばれた「長寿の湯」で、ほっこり。
- (写真右下)7代目女将の山田揚子さん。
- (写真左)蒲生川にかかる「湯かむり橋」。
- (写真中)木造3階建の建物が旅情を掻き立てます。
- (写真右)ラウンジで旅の疲れを癒します。
岩井屋
住所/鳥取県岩美郡岩美町岩井544
お問合せ/0857-72-1525
営業時間/9:00〜18:00
チェックイン/15:00
チェックアウト/10:00(最終チェックイン:18:00)
料金/1泊2食付きお一人様 岩ガキコース 20,000円(税別)
※お盆ごろまで。以降炭火焼コース(キノコ類、アワビ、松茸などその日の入荷によるお任せ)
日本海の獲れたてを豪快に味わう
美しい海を眺めながら、獲れたての海の幸をたっぷり楽しめるのが「シーサイドうらどめ」さん。ビーチまで0メートル!名物は「磯の炭火焼セット」(3,780円)。カサゴ、イカ、ホタテ、サザエ、ハタハタの焼き方を油浅早苗さんに教わりました。