ワンデイドライブ

ZR-Vで行く 岡山県高梁市

心やすらぐ歴史と文化の町への旅

標高約550mの山間に現れる赤褐色の石州瓦とベンガラ色の町並み

かつての長者達が後世に残してくれた美しい文化遺産

好奇心を刺激する
多彩な魅力があふれる

 岡山県の中西部、吉備高原の丘陵地の豊かな自然に囲まれた岡山県高梁市は、多彩な魅力の発信地です。今も盛んな伝統芸能の備中神楽の発祥地であり、備中松山藩の城下町。幕末の高梁を救った山田方谷の生誕の地として知られ、昭和49年には吹屋地区が岡山県の「ふるさと村」に、昭和52年には国の重要伝統的建造物群保存地区に認定されました。さらに令和2年6月に「ジャパンレッド」発祥の地ー弁柄と銅の町・備中吹屋ーとして日本遺産に認定されました。

江戸時代後期から大正時代にかけて、銅山とベンガラ生産で栄えた吹屋。豪商たちが石見(島根県西部)から宮大工や瓦職人を招き、統一された意匠の町家を建築させました。

町全体がベンガラ色で統一。

ベンガラ格子の代表的な家屋の「郷土館」。映画『燃えよ剣』のロケ地です。

江戸時代末から明治時代の屋敷構えを残す「旧片山家住宅」。

母屋とともにベンガラ製造に関わる付属屋も立ち並んでいます。

床の間のある奥座敷。

瓦、格子、のれん全てベンガラ色。吹屋ふるさと村の町並みに溶け込む「吹屋郵便局」。

明治35年創業の「おみやげ あさだ」。ベンガラ染めの商品やベンガラ和紙などが並んでいます。

「えみアイス」で一休み。(丸囲み写真)左ベンガラソフト、右ブラックソフト(各500円)。

築100年を超える木造校舎が語る
吹屋の歴史と文化と人々の思い

 平成24年に閉校されるまで、現役最古の木造校舎として多くの人に愛された「旧吹屋小学校」。後世に残すため保存修理を施され、吹屋の歴史や文化の発信基地として公開されています。

吹屋のジオラマ。

県指定重要文化財に指定された美しい佇まい。

銅山とベンガラの生産で栄えた
歴史と文化に触れる

 この地の繁栄の源になった吉岡銅山は、大同2年(807年)に発見されたと言われています。その坑口の一つ「笹畝坑道」では、江戸時代から大正時代まで稼働していた銅山が復元され、坑内を見学することができます。吹屋でベンガラを生産し始めたのは1704年で、銅山の捨て石の中から硫化鉄鉱を採取し、家内工業で素朴な製品を少量作り始めました。1700年代後半には工業化され、国内屈指のベンガラと銅での産地として繁栄。昭和40年代にその歴史を閉じましたが、今でもその歴史的・文化的価値は大切に保存されています。

神秘的な坑道は、年中15℃前後で外とは別世界の「笹畝坑道」。

坑道内部は当時の採掘の様子を再現。

「ベンガラ館」では、明治時代のベンガラ工場を復元し生産工程をわかりやすく展示しています。

ベンガラは、銅鉱石とともに産出される硫化鉄鉱石からローハ(緑礬)を取り出して焼成する赤色顔料のこと。神社などの建築、九谷焼・伊万里焼や輪島塗など日本を代表する工芸品を鮮やかに彩ってきました。

「ベンガラ陶芸館」では、絵付け体験もできます(4月〜11月の日・火のみ 10:00〜17:00要予約)。

江戸時代に小泉銅山経営とローハ製造で巨万の富を築いた豪商の邸宅「広兼邸」。

庭園には水琴窟も。

囲炉裏のある広い台所。

もののふの鼓動が聞こえる
城下町「高梁」

 高梁市の市街地の北にそびえる臥牛山(がぎゅうざん)。4つの峰があり、そのうちの標高430mの小松山山頂付近に建つのが「備中松山城」です。『現存12天守』の一つで、山城では唯一天守を持つ城として、国の重要文化財に指定されています。JR備中高梁駅周辺は、備中松山藩の城下町として発展してきた地域で、江戸時代の武家屋敷が残る通りや、石垣が城郭のような寺院など、歴史スポットがあちらこちらに点在しています。

臥牛山の小松山山頂に建つ「備中松山城」。急峻な山上に建つことで300年も昔の山城が残りました。秋から早春の早朝には雲海がお城の下一面に広がり美しい姿を雲の上に浮かびあがらせます。

頑張ってお城に登っていくとご褒美が。「猫城主さんじゅーろー」が人懐っこい顔でお出迎えしてくれます。

天和3(1683)年から残っているといわれている二層二階の天守。

見事な石垣も見所。

「石火矢町ふるさと村」の武家屋敷通り。

格調高い門構えの武家屋敷「旧折井家」。

藩主板倉勝政公の生母の実家でもあった「旧埴原(はいばら)家」。

備中国奉行・小堀遠州の初期の頃(1605年ごろ)の作庭「頼久寺庭園」。

城下町の東にそびえる愛宕山を借景にした蓬莱式枯山水庭園です。

藩政改革を成し遂げた郷土の偉人について学ぶ「山田方谷(ほうこく)記念館」。二体の像が出迎えてくれます。

隣の「高梁市郷土資料館」。江戸時代から昭和初期の生活用具等を展示。

自然が作り出した絶景や
のどかな風景に癒されるドライブ

 高梁市の郊外をドライブすると息を呑む絶景やホッコリ風景に出会えるのも魅力です。市の高原を東西に走るかぐら街道・備中中部広域農道は、ほぼ全線2車線で変化に富んだドライブが楽しめる道路です。沿線には備中松山城を望む見晴台や備中神楽の像などがあり一息できる場所が点在しています。また、成羽川の支流、島木川沿いの県道300号を北上すると、石灰岩でできた約2kmに及ぶ渓谷「羽山渓」、さらに成羽川上流の高台には、自然が生み出した雄大な2つの巨石「夫婦岩」の絶景に息を呑みます。

新緑や紅葉の名所で知られる「羽山渓」。県道300号の巨石を削った「羽山第二トンネル」は、圧巻のダイナミズムです。

「かぐら街道」にある備中神楽の像。

「かぐら街道」は、その名の通り神楽文化が豊かに根付いた地域にあります。福地川にかかる橋の親柱には「神楽のお面」が。

高梁川にかかる秋町橋を渡る際、運が良ければ向かいのJR伯備線を走る「特急やくも」との競演が見られるかもしれません。

標高400mの石灰岩の台地上にそびえる自然が生み出した華麗な2つの岩。夫岩は高さ12m、妻岩は16mで愛児のような岩を抱いる姿が特徴的です。

コンクリートの壁と緑が調和した美しい姿は、安藤忠雄氏設計の「高梁市成羽(なりわ)美術館」。郷土の洋画家・児島虎次郎氏の遺徳を顕彰しています。

100余年の歴史を紡ぐ和菓子店「三宅製菓かぐら店」。縦8cm、横7cmの大判の「備中神楽面最中」(1個230円)。

国道313号で見つけた可愛いパン屋さん「パンドミ」。

吹屋ふるさと村でいただく野菜たっぷりのスープカレー

 吹屋ふるさと村のど真ん中にあります。ベンガラカラーののれんが目印。スープカレー好きの趣味が高じてご主人が定年退職を機に吹屋の実家で始めたお店です。2019年にはテレビ朝日の『人生の楽園』にも登場。10種類以上の野菜と20種以上のスパイスが味わい深いスパイシーな味付けです。地元産にこだわり野菜は高梁産・新見産を主に使用、お米も隣町の宇治町の農家さんに作ってもらっています。

野菜がゴロゴロ! レモンをしぼって果汁をごはんにかけてからいただきます。濃厚なエビ出汁がたまりません。「とと道スープカレー(手前1,600円)」と、トロトロの牛スジとたっぷり野菜の「ビーフスープカレー(奥1,300円)」。

落ち着いた店構え。

ちゃぶ台でいただくと雰囲気が増します。

優しい人柄が滲む吉川昭さんと由美さん。

郷土の偉人の名を冠したお店、
そば好きの隠れ家

 国道180号に面した観光駐車場の奥に佇む古民家風のお店。古ぼけた看板も趣があります。手作りの十割そばを丁寧に作るので時間に余裕を持っていくのがおすすめです。

温かい「天ぷらそば(手前1,200円)」と冷たい「おろしそば(奥 900円)」。口に入れた途端、お蕎麦独特の香りが鼻に抜け、さわやかなのど越しです。仕上げはそば湯で。

雲海とお城の街にある
豆富料理専門店

 「ミシュランガイド岡山2021」でミシュランプレートに掲載されたお店。国産大豆から生まれる豆乳、豆富、揚げ、おからを地元の醤油・味噌で調理した『高梁づくし』の料理です。

ミニ豆富カツレツ、小鉢、刺身こんにゃくなど盛りだくさんの「豆乳温とうふ膳」(手前1,600円)と名物豆富カツレツがメインの「雲白御膳」(1,500円)。

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岡山県高梁市