多彩な自然と歴史と文化に触れ合う心踊る旅
愛媛県の南部、東西に横長く広がるまち
海から山まで見所いっぱいの西予市を訪ねました
窓を開けると宇和海から爽やかな風吹き抜ける、明浜町にある野福峠。全長7kmのワインディングロードは、快適なドライブコースです。
西予市は、宇和海から四国山地まで標高差1,400mの中に広がる、大地(ジオ)のまちです。リアス海岸、盆地、段々畑や棚田、そしてカルスト台地など豊かな自然が凝縮。海・里・山がもたらす多彩な恵みは、ここでしか出会えない景観を生み出し、独特の産品や文化を育んできました。人々の暮らしや風土に触れるたび、“ここにしかない感動”が心に残ります。
白い石灰岩に縁取られた「狩浜の段々畑」。
眼下には、宇和海狩浜の農漁村が広がります。
卯之町(うのまち)は、江戸時代、宇和島街道をはじめ主要な街道が交差する在郷町として栄えました。白壁、うだつ、半蔀(はじとみ)、出格子といった伝統的な建築様式が今も残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。街並みを歩けば、往時の暮らしぶりを垣間見ることができ、当時の文化を体験できる施設も充実。多くの観光客を魅了しています。
卯之町の繁栄を今に伝える老舗「松屋旅館」(現在休業中)。
保存地区では、鑑賞するだけでなく、ユニークな体験も。「宇和米博物館」では、日本一長い木造建築の廊下(全長109m)を使った“ぞうきんがけ”体験が人気。明治15年(1882年)に建てられた「開明学校」では、当時の授業を再現した体験も可能。さらに、楠本イネ(日本初の女性医師)をはじめ、宇和町にゆかりのある偉人を顕彰する「宇和先哲記念館」もあり、新たな発見が。
昭和3年(1928年)建築の木造校舎「旧宇和町小学校」を移築し、『米どころ宇和』を紹介する「宇和米博物館」。ぞうきんがけ体験(500円)。体操服、シューズも貸し出されます。毎年、『Z-1グランプリ』と題したタイム競走大会も開催(今年は11月2日日曜日)。
悠久の時を刻んだ大地が広がる西予市。2013年9月、この豊かな地形は『日本ジオパーク』に認定されました。その物語を未来へとつなぐ拠点が「四国西予ジオミュージアム」。自然や、人々の暮らしの関わりを楽しく学べます。そして四国カルストの西端に佇む「大野ヶ原」。牧歌的な風景の中で、吹き抜ける風とともに“ジオ”を体感できる場所です。
2022年春にオープンした「四国西予ジオミュージアム」。四国西予ジオパークの魅力を丸ごと体感できる旅の拠点です。
大早津海水浴場の前に建つ「あけはま〜れ」。宿泊やしお湯、そしてレストランを備えた旅の拠点にぴったりの施設です。レストランでいただける郷土料理は、まさに絶品。おすすめは、伊予水軍が船上での酒盛りの際に、茶碗のご飯に刺身と醤油を混ぜ合わせ食べたことに由来する伝統料理『日向飯(ひゅうがめし)』。新鮮な鯛の味が引き立つ逸品です。
西予市明浜観光交流拠点施設 あけはま〜れ
新鮮な鯛の刺身を特製ダレと卵に絡め、薬味とともにご飯にのせる「日向飯御膳」(2,000円)。奥は、ふっくらとした釜揚げしらすをたっぷりのせる「あけはましらすビックリ丼」(1,100円)。
テラス席では、白い砂浜ときらめく宇和海を眺めながら堪能できます。
ビーチを見下ろす高台にあります。
宇和町卯之町で生まれた「山田屋まんじゅう」。今年の4月で創業158周年を迎えました。現在の5代目当主に至るまで“一品不変”の味と製法を守り続けています。一口食べれば、その理由がわかります。「まんじゅう」のイメージを覆すほどの繊細な味に驚きと感動が待っています。
山田屋まんじゅう本店
直径3cmほどの一口まんじゅう(3個入432円)。贈り物にも人気。
歴史を感じさせる落ち着いた店内は、訪れる人に安らぎを届けます。
白漆喰の壁が印象的なお店です。
『四国八十八景』に選ばれた「こけむしろ」。かつては棚田だった場所に木を植え、さらに2003年から苔を植え始め、5年かけて育まれた緑の庭園です。その幽玄の世界の静寂中でいただくコーヒーや抹茶、スイーツは、まさに至福のひととき。日常を忘れ、心まで潤う時間が広がります。
ギャラリー喫茶 苔筵(こけむしろ)
緑まばゆい苔庭と木立に抱かれながら、時間が静かに流れていきます。
(左)アイスコーヒーとコーヒーゼリー、(右)抹茶と苔まんじゅう&唐饅(どちらもセットで700円)。
苔庭の散策では、目を閉じて深呼吸。心が澄み渡ります。
愛媛県西予市
ステップ ワゴン
大野ヶ原地区最高地点「源氏ヶ駄馬」付近。
眼前に広がる雄大な景色と、吹き抜ける澄み渡る風が、心を優しく解き放つ。