鞆の浦からはじまる、海・町・食をめぐる、瀬戸内ドライブ

日本遺産
「瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町」
〜セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦〜
鞆の浦のシンボル。現存する江戸期のものとしては最大級の「常夜燈」
瀬戸内海のほぼ中央にある「鞆の浦」。東西から潮流がぶつかる地点にある天然の良港として、古くから交通の要衝です。常夜燈や、港を囲む雁木、波止など近世の港湾に必要とされた5つの施設がまとまって現存する国内唯一の港町として、日本遺産に認定されています。江戸時代から続く細く入り組んだ路地を歩けば、見所、味処がぎゅっと詰まっています。
鞆の浦に着いたら、まずは「鞆てらす」へ。明治時代の町家を活用したこの施設は、誰もが気軽に立ち寄れる、鞆の浦散歩の拠点。町の歴史や文化を知ることで、旅がぐっと奥行きを増します。看板には、『何といってもトイレがおすすめ』の一言にも、思わず笑顔に(円写真)。


1867年、海援隊の「いろは丸」と紀州藩の軍艦「明光丸」が衝突した「いろは丸」事件。その交渉のため、坂本龍馬は鞆の浦に滞在しました。鞆の浦には今でも龍馬ゆかりの場所が点在しています。瀬戸内海随一の景勝地として名高い「福禅寺・対潮楼」。そして冷えや夏バテ、疲労回復に良いとされる地の特産品「保命酒」。歴史を感じながら、土地の恵みに出会えます。
江戸時代、朝鮮通信使が「日東第一形勝(日本で一番美しい景勝地)」と称えた「福禅寺・対潮楼」。窓枠を額縁に見立てるように切り取られた、弁天島や仙酔島を望む瀬戸内海の多島美は、まさに一幅の絵画。悠久の歴史と、国境を超えて愛されてきた絶景が出会う場所で、心が静かにほどけるひとときを。
鞆の浦から西へ4キロ。沼隈半島の南端、阿伏兎岬の突端に建つ朱塗りの堂宇が、「阿伏兎(あぶと)観音」です。切り立った岩肌に打ち寄せる飛沫が、観音堂の美しさを一層際立たせます。内海大橋を渡り田島に向かえば、自然を五感で楽しめる体験型ビーチ「クレセントビーチ」。ここで車を降りて深呼吸。特産品“田島のり”のお店では、収穫から製品までの工程の現場に触れる貴重な時間です。
1570〜1573年に、毛利輝元によって再建された磐台寺の観音堂。古くからその美しさは名高く、安藤広重の浮世絵や志賀直哉の小説『暗夜行路』にも描かれています。


鞆の浦の背後を走る県道251号線、通称「福山グリーンライン」。眼下に鞆の浦、視線の先には瀬戸内海の多島美が広がります。さらに、内海(うつみ)大橋を渡り、自然豊かなた田島(たしま)へ。「やぶ椿と水仙の里」では、水仙(3月下旬まで)や川津桜(3月中旬まで)が彩りを添え、ベンチに腰掛けて、きらめく瀬戸内海を眺めながらのんびりした時間を!お帰りは「道の駅アリストぬまくま」で瀬戸内の恵みをお土産に。
海面から30メートル。全長832m、特徴的な曲線が瀬戸内海を彩る「内海大橋」を下から見上げるとそのスケールに圧倒されます。青空を背に描く弧が、瀬戸内海の多島美と美しく調和。

鞆の浦と鯛の縁は深く、万葉の時代からこの地は鯛の名産地として知られてきました。鞆の浦周辺は、瀬戸内海の中でも潮の流れが穏やかなエリア。ここで育つ真鯛は、身が締まりすぎず、驚くほど上品で繊細な脂をたたえています。カウンター越しに眺めるのは、料理長(亭主)の見事な包丁さばき。その所作を肴に、「鯛めし」を味わう この上ない贅沢です。
鞆の浦 魚処 鯛亭
鮮度抜群の鯛を豪快な切り身にして、昆布出汁と醤油で炊き上げた「鯛めしDX(写真手前1,800円)」と、ぷりっとした肉厚の身を熱々でいただく「鯛茶漬(1,500円)」。

この道60年、御年84歳の亭主・豊田充彦さん。おしゃべりも楽しく店の空気を和ませてくれます。

仙酔島行きの渡船のりばの向かい。鞆の浦東海岸の好立地。
鞆の浦を歩き疲れた頃、自然と足が向いてしまう甘味処。店先の正面には、鞆の浦の美しい海や常夜灯が。瀬戸内海の海水から作られた塩を使った塩豆大福(350円)や塩クリーム大福(350円)のほか、海や夕焼けをモチーフにしたスイーツも揃います。
汐の音
特製塩クリームと苺、みかん、栗、フランポワーズ、ブルベリーを包んだ「潮待ち大福(680円)」と「鞆ソーダフロート(780円)左:レモネード(海)、右:オレンジ(夕焼け)」。


常夜灯の近くのお店です。

ベンチで思わず笑顔。

内海大橋の手前に佇む、初代NSXのオーナーのお店。心地よい潮風が、ゆったりとした時間演出。店内は、ヨットをイメージ。59(ファイブナイン)とは、無線用語で『感度良好』の意味です。
Café 59
クッキーシュークリームいちご(手前650円)と粗ごし栗のマロンケーキ(550円)。

寒い日は、毛布やストーブも用意してくれるテラス席で、憩いのひとときを。

内海大橋のそばのお店です。
内海フィッシャリーナ内のクラブハウスに、昨年2月にオープンしたばかりの食堂です。田島と隣の横島を結ぶこの海域は、広島県内でも有数の牡蠣の産地。その牡蠣をバーベキュースタイルでいただける人気のお店です。マルコ水産から仕入れた生海苔を使ったスープのラーメンや、一時は絶滅の危機に瀕した田島のアサリを復活させた奇跡のブランド“貝王(かいおう)”の濃厚なエキスを生かすため「パエリア風」にした釜飯など、驚きの味覚が待っています。
牡蠣屋 うつみ食堂
麺が見えないほどの大きな海苔が乗った「うつみ海苔ラーメン(しょうゆ味)」。(手前 1,000円。海苔は、マルコ水産製。スープにも生海苔が練り込まれ、深いコクが広がります。奥は、今や人気ブランド、田島あさり“貝王”を使った「内海産あさり釜飯」(1,300円)。


ご主人・宮口豊秀さんの手際にも注目。

クラブハウスの中にあります。

食後は、隣接するクレセントビーチ海浜公園へ。リフレッシュタイムです。
広島県福山市鞆の浦・沼隈町・内海町
N-ONE e:

撮影地/福山市内海町田島 クレセントビーチ ※特別な許可のもと撮影しています