ワンデイドライブ

VEZELで行く愛媛県大洲市

歴史の町に新しさが息吹く城下町大洲市探訪

ノスタルジックでどこか懐かしさを感じる街


伊予の小京都とも言われ、昔ながらの街並みが残る愛媛県大洲市


近年市をあげてのまちづくりが再認識されているとか


その魅力を探ってきました

大洲城の歴史は古く、鎌倉時代末期が始まりと言われています。明治21年(1888年)に天守は取り壊されましたが、4棟の櫓は解体をまぬがれ全て国の重要文化財に指定されています。うち2つが写真の天守の右側の『台所櫓』と左側の『高欄櫓』。4層4階の天守は平成16年(2004年)に木造で復元されました。

※天守広場は車両乗り入れ禁止です。撮影上の演出により、特別に許可のもと撮影しています。

古き良き街並みを再生し
新しい発想で魅力を発信

 愛媛県の南予地方にある大洲市。市は、市街地の『肱南(こうなん)エリア』、瀬戸内海に面した『長浜エリア』、市の中心を流れる清流肱川(ひじかわ)の中流に位置する『肱川エリア』、肱川の支流川辺川上流に位置する『川辺エリア』の4つのエリアで構成されます。市街地中心では江戸時代に大洲城の城下町として栄え、戦争の戦火を免れたため江戸や明治の家並みが今なおその形をとどめています。最近では、その古い建物を活用した試みが評価されています。

肱川流域随一の景勝地。如法寺河原にかかる沈下橋からは、「臥龍(がりゅう)山荘」の建物や庭園のある部分、「蓬莱山(ほうらいさん)」と呼ばれる島、その間にある渓谷「臥龍の淵」の3つの部分がはっきり見て取れます。

如法寺河原へは、車でも降りられます。

「臥龍山荘」の『不老庵』からの眺め。
中秋の名月には、竹網代天井に臥龍淵の水面に反射する月明かりが射し込みます。

数寄屋造が見事な『臥龍院』と庭園。

趣のある「臥龍山荘」へ続く小径。

肱川のほとりにある丘陵に築かれた大洲城。市のシンボルとして圧倒的な存在感を放っています。

天守で使用した木材は全て国産材。
大洲城職員の柿見陽介さんに案内され、1階に入ると城郭建築特有の迫力ある木組が見られ圧倒されます。
心柱(しんばしら)には樹齢250年の桧を使用し、1・2階の吹き抜けは他では見られない構造です。

右の櫓も重文の『三の丸南隅櫓』。
奥に見える『旧加藤家住宅主屋』と庭園を合わせて「お殿様公園」の愛称で親しまれています。

町なかを巡れば出会う
歴史と文化とゆったりした時間

 「大洲まちの駅あさもや」に車を置いて、東西に碁盤の目のように区切られた町を歩くと、歴史を感じる建物が整備され美しく並び、昭和の時代を感じる看板なども目につき、タイムスリップした気分になります。古い建物を活かしたお洒落なショップも。意外にも2,3年以内の開業のお店も多く、建物と商品のギャップに驚かされるのもお楽しみです。

大洲神社へ続く石段。

昭和41年のNHK朝の連続ドラマ『おはなはん』のロケが行われたおはなはん通り。

酒乃さわだ 小倉邸。

アンティークな小物で囲まれたお洒落なお店。

澤田和美さんがワインを量り売りしてくれます。

OZU+(オオズプラス)は、2階がホテルになっている古民家の1階。

山鬼育子さんがオーガニックタオルを販売。

二葉屋志ぐれ餅店。

手作り感が嬉しい甘さ控えめでもっちり、『志ぐれ餅』を製造販売。

おおず赤煉瓦館。

元は銀行という明治34年建築の赤煉瓦の建物。

館内は、特産品の販売、休憩スペース、ギャラリーがあります。

市街地観光の拠点、大洲まちの駅 あさもや。

特産品販売コーナーには大洲でしか手に入らないものがいっぱい。

そびえ立つ山々を縫う肱川中流

癒しの静かな時間が流れる

 大洲市街地から国道197号を南下、20分ほどのドライブで「清流の里ひじかわ」に着きます。山と川の自然がいっぱいです。ここを拠点に『肱川エリア』を探索です。まず向かったのは円山公園内にある「風の博物館・歌麿館」。「歌麿館」では、旧肱川町と浮世絵の意外な関係を知ることができます。川を渡って真っ赤な大鳥居をくぐり、肱川の支流・小藪川を約2kmさかのぼった溪流のほとりに建つ「小藪(おやぶ)温泉」でのんびり昼食タイム。温泉は、湯治客や観光客などの方に150年以上愛され続ける名湯です。

囲炉裏にはとり鍋がかけられ、炭の周りにはアマゴの塩焼きが。タイムスリップしたような時間が流れます。

山間にひっそり佇む秘湯の宿で
郷土料理を囲炉裏で味わう

 小藪温泉の建物は、大正中頃の建築で木造3階建の本館は国の登録有形文化財にも指定されています。

この日の昼食は『囲炉裏の鍋物コース(3,850円お一人)』。1日1組限定なので要予約です。

地元の野菜やジビエ、川魚を中心にした郷土料理です。

Ph9.8度のアルカリ性単純泉。美肌の湯とも言われています。

回廊は歩くとミシミシと軋み風情が高まります。

丸山公園に入ると、“風”について楽しく学べることができる「風の博物館」と「歌麿館」があります。
写真の「歌麿館」では、名前の由来でもある旧肱川村で発見された江戸の浮世絵師、喜多川歌麿の版木2枚や道具などが展示されています。

館内の歌麿カフェ。モダンな和テイストの空間です。

建物の入り口は共通で館内で2つの施設に分かれています。

日本の原風景秘境の渓谷と
坂本龍馬脱藩の道

 高知県との県境にも近い山深い渓谷の『川辺エリア』。この地区には、全国でも珍しい屋根付き橋が8つもあり「浪漫八橋」と呼ばれています。明治19年にかけられた最古の「御幸の橋」を始め、公園のシンボルの橋や、農産物や農機具の保管場所、住民の憩いの場所となっているところもあります。また旧川辺村が、坂本龍馬が脱藩の旅の一歩をここで踏み出した場所と知ると、龍馬たちの浪漫に心が動かされます。

浪漫八橋で最も古い「御幸の橋」は、安政2年(1773年)奥にある天神社が創設された時架けられました。現在の橋は明治19年に再現されたものです。杉皮葺の屋根に釘は一切使用していません。

川辺ふるさと公園内に立つ沢村惣之丞、坂本龍馬、那須俊平の『飛翔の像』。

公園の向かいにある『坂本龍馬脱藩之日記念館』。

『坂本龍馬脱藩之日記念館』の展示風景。

小学校の廃校舎を再利用した宿泊施設「川辺ふるさとの宿」。

災害を乗り越えパワーアップ

伝統の味を伝える肱川魂

 2018年7月。この地域は、未曾有の水害に見舞われました。建物の1階部分が全て水に浸かったお店も多くありました。今回お邪魔しました「福栄堂菓子舗」さん、「養老酒造」さん、「道の駅 清流の里ひじかわ」も被害に遭いました。廃業も考えていましたが、お客さんやボランティアさん、近所の方達の想いを受け復活しています。どのお店も共通して1階部分は真っさらで、お店の方の笑顔はみなさんとびっきりで素敵でした。

1階部分が真新しい「道の駅 清流の里ひじかわ」。こちらも水害に遭いました。地元で採れた野菜産直市やラーメンなどの特産販売所やお酒屋さんや食堂もあります。

先の水害では1階部分が水没した「福栄堂菓子舗」。

なんとか復活し好評の「文楽もなか」を提供しています、と2代目の福田永一郎さん。

こちらも水害時には蔵が約3m近く浸水た「養老酒造」。

一時は廃業を考えましたが、仲間に支えられ酒造りをリスタートできました、と語る4代目山内倫太郎さん。

おとなの城下町遊びを演出するブティックホテル

 大洲市の『歴史的建造物を活用した観光まちづくり』が『2021年度グッドデザイン賞』を受賞しました。これは、バユーマネジメント社と大洲市の社団法人とが官民連携し、日本初の城泊や町屋や古民家を活用した分散型ホテルの取り組みが評価されたものです。大洲城下に点在するホテルでの滞在は、歴史と文化にどっぷりつかるおとなの贅沢な遊びです。

大洲城を目の前に見るレストラン。とびっきりの視界と舌触りで至福の時間が流れていきます。

高級レストラン「ルアン」が監修する地産地消の料理

季節の移ろいと歴史建築を楽しむ

歴史的な邸宅「浦岡邸」がレストランに生まれ変わりましたが趣は当時のまま残されています。

高レストラン「ルアン」で提供されている地産地消のランチコースは3,200円。

宿泊者用ダイニングも兼ねるこちらの建物は「SADA棟」と言います。

客室の多くは1棟貸しです。

お城を眺めながら2人でゆっくり寛げる空間。

お風呂は本格的桧風呂。

趣のある壁や調度品がラグジュアリー空間を作り出します。

南予初のクラフトビール醸造所とタップルーム

 「臥龍煉瓦倉庫」内に誕生したクラフトビールのブルワリー(近日オープン予定)と出来立てのクラフトビールが楽しめるタップルーム(ビアバースタイルの飲食店)。各地から取り寄せたスペシャルビールはいつでも飲むことができます。

左後ろの黒ビール“ベルジャンホワイト”(L900円)とスパイシーな味わいの“スタウト”(L950円)。手前は、鶏もも肉の大葉塩ダレ炒めを挟んだ“カンパーニュサンド”(720円)。

1階の奥に醸造所があります。

2階のタップルーム。ジャズが流れアンティークな雰囲気の落ち着きある空間です。

MAP

愛媛県大洲市