歴史と文化の香るまちを清々しくドライブ
南国高知のイメージがぴったりの安芸市
早春の『歴史と文化の香るまち』を訪ねると
思わぬ発見に驚きと感動がありました
安芸市のシンボル「野良時計」。まだ家ごとに時計のなかった明治20年頃、地主であった畠中源馬氏が独学で時計の仕組みや組み立て技術を身につけ、歯車から分銅まで手作りで作り上げた時計台です。この時計台があることで、当時は野良仕事をしている人が遠くからでも時刻を知ることが出来ました。周辺は夏になるとヒマワリが咲き、のどかなフォトスポットとしても人気です。
石器や土器、銅鐸などが出土していることからこの地は古くから開けていたようです。戦国時代末期に長宗我部氏との合戦で滅びるまで豪族安芸氏が、江戸時代になり山内豊一の土佐入国とともに重鎮の一人五藤為重が安芸を知行していました。幕末になると三菱グループの礎を築いた明治時代屈指の経済人岩崎彌太郎、明治になると日本を代表する童謡の作曲家弘田龍太郎、昭和期には書道芸術を国際的な評価を得るまでに高めた手島右卿(ゆうけい)など超一級の偉人を輩出しています。
パワースポットとして人気を集める「伊尾木洞」は、海沿いの国道からすぐ、大自然の神秘に感動です。岩崎彌太郎生家から望む妙見山の山頂付近にある「星神社」は、江戸に旅立つ彌太郎が門扉に“吾れ、志を得ずんば、再びこの山に登らず”と記した事で知られます。安芸駅構内にある「安芸駅ぢばさん市場」では地元の新鮮な特産品が揃い、「安芸観光情報センター〜彌太郎こころざし社中〜」は旅の初めにぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
「伊尾木洞」は、国道55号線沿いにある駐車場から徒歩2分の所に入り口があります。この辺りが約300万年前、周辺がまだ海だった頃に堆積した地層が隆起し波によって浸食されてできた天然の海食洞です。高さ5m、幅3m、全長40mほど。絶滅した二枚貝・モミジツキヒガイをはじめとする様々な化石に出会えます。
洞窟を抜けると国の天然記念物に指定されている40種類以上のシダ植物が切り立った崖に群生し、神秘的で感動的な世界が広がっています。専門的な知識で丁寧に説明してくれるガイドさんと一緒に歩くのがベストです。この日は観光ボランティアガイドの仙頭ゆかりさんに案内していただきました。
国道55号線を安芸漁港から海沿いの道を東に向けてドライブすると、千歳町の海岸に白い絨毯が並べられています。これは釜揚げしらすの天日干しの風景。釜揚げしらすは天日干しをして『ちりめんじゃこ』になります。30近くの台に広げて干されたしらす干しは圧巻です。安芸市は漁港の漁獲量の約9割が『ちりめんじゃこ』にもなるじゃこの産地なのです。また、安芸市は約600人の農家が約140haで栽培する冬春ナスの生産量日本一を誇り、京浜地区を中心に全国に出荷されています。
しらすは台別に大きさの違い、『薄口』『辛口』で分けられ干されます。愛嬌たっぷりに、小松海産の小松宣海さん(73歳)に「ドンドンつまんで食べ比べてみて!」とおっしゃっていただき、走り回りながら台ごとの味比べをしました。
内原野焼は五藤家が藩の許可を得て焼いたのが始まりと言われています。春には約15,000本のツツジが咲き誇る内原野公園内には「内原野陶芸館」があり、陶芸やガラス細工づくりが気軽に体験できます。ガラス工房では、おひとりさまからでもバーナーワークが楽しめます。完全予約制ですが、指導員がマンツーマンで指導しトンボ玉制作マンツーマンコースで2時間3,500円(お二人以上なら一人2,500円)です。
この日指導してくださったのは、イタリアでガラスARTを学び2021年に『土佐の匠』に認定されガラス細工作家でもある岡崎壮さん。トンボ玉作りに挑戦です。ちなみにトンボ玉とは柄が入った小さなガラス玉のことです。
口ずさむと、ふるさとの風景が浮かんでくる童謡の作曲家弘田龍太郎は、1892年(明治25年)、土居村(安芸市)で生まれました。3歳の時父の転勤に従い安芸を離れますが、東京音楽学校を卒業後大正から昭和初期にかけて数多くの作品を生み出しました。氏の業績をしのび、安芸市内の名所、旧跡地10カ所に曲碑が建てられています。
♪鯉のぼり
和風のお茶屋さん。暖簾をくぐると正面の壁にカップとソーサーがズラリと並んだレトロ調のインテリアが和みます。目の前にのどかな風景が広がっています。
野良時計に隣接し田園風景に溶け込む茶屋『高園茶屋』
手前は『抹茶セット・手作りヨーカン付(750円)』、奥は『ショートケーキとコーヒーのケーキセット(750円)』。
隣の工場からどんどん届く新鮮なしらすを新鮮なうちに提供できるレストランはなかなかありません。地元の特産品や『じゃこソフト』なども買えます。
お隣はしらす加工場、漁港のレストラン『安芸しらす食堂』
『釜揚げちりめん丼セット(左850円)』と『安芸まるごと丼セット(右1,400円)』、中央は『なすのタタキ(400円)』。
聞いたこのないアイスがあるというので訪ねました。安芸市のナス農家が中心になり考案したそうです。香ばしい香りがクセになりそうです。
安芸グループふぁーむ
「にっぽんの宝物2019」JAPAN大会スイーツ部門グランプリの焼きナスアイスの他にも、酒かす、生姜、青のりなどびっくりするようなラインナップが揃っています。
高知県安芸市