ワンデイドライブ

N-BOXで行く高知県安芸市

歴史と文化の香るまちを清々しくドライブ

南国高知のイメージがぴったりの安芸市

早春の『歴史と文化の香るまち』を訪ねると
思わぬ発見に驚きと感動がありました

安芸市のシンボル「野良時計」。まだ家ごとに時計のなかった明治20年頃、地主であった畠中源馬氏が独学で時計の仕組みや組み立て技術を身につけ、歯車から分銅まで手作りで作り上げた時計台です。この時計台があることで、当時は野良仕事をしている人が遠くからでも時刻を知ることが出来ました。周辺は夏になるとヒマワリが咲き、のどかなフォトスポットとしても人気です。

弥生、古墳時代から開かれた地

歴史上の偉人を数多く輩出

 石器や土器、銅鐸などが出土していることからこの地は古くから開けていたようです。戦国時代末期に長宗我部氏との合戦で滅びるまで豪族安芸氏が、江戸時代になり山内豊一の土佐入国とともに重鎮の一人五藤為重が安芸を知行していました。幕末になると三菱グループの礎を築いた明治時代屈指の経済人岩崎彌太郎、明治になると日本を代表する童謡の作曲家弘田龍太郎、昭和期には書道芸術を国際的な評価を得るまでに高めた手島右卿(ゆうけい)など超一級の偉人を輩出しています。

岩崎彌太郎生家付近に立つ像。威風堂々の顔の表情は一見の価値があります。

幕政時代の佇まいを今に残す武家屋敷の町割の「土居廓中(どいかちゅう)」。

幕政時代より書道が盛んな安芸市が開館した全国初の公立書道専門美術館「安芸市立書道美術館」。

手島右卿を始め川谷横雲、尚亭兄弟などの作品を展示。

五藤家に伝わる美術工芸品などのほか、岩崎彌太郎や弘田龍太郎などのゆかりの品等も収蔵する「安芸市立歴史民俗資料館」。

安芸城跡の南の土塁にある追手門。石垣を配した枡形構造で正面からは内部は見えません。

食文化と自然、歴史が生んだ
安芸市の豊かな魅力を発信

 パワースポットとして人気を集める「伊尾木洞」は、海沿いの国道からすぐ、大自然の神秘に感動です。岩崎彌太郎生家から望む妙見山の山頂付近にある「星神社」は、江戸に旅立つ彌太郎が門扉に“吾れ、志を得ずんば、再びこの山に登らず”と記した事で知られます。安芸駅構内にある「安芸駅ぢばさん市場」では地元の新鮮な特産品が揃い、「安芸観光情報センター〜彌太郎こころざし社中〜」は旅の初めにぜひ立ち寄ってほしいスポットです。

「伊尾木洞」は、国道55号線沿いにある駐車場から徒歩2分の所に入り口があります。この辺りが約300万年前、周辺がまだ海だった頃に堆積した地層が隆起し波によって浸食されてできた天然の海食洞です。高さ5m、幅3m、全長40mほど。絶滅した二枚貝・モミジツキヒガイをはじめとする様々な化石に出会えます。

国道55号線沿いの町はずれに
数万年前の時代にタイムスリップした場所

「伊尾木洞」は神秘的な雰囲気に包まれています

 洞窟を抜けると国の天然記念物に指定されている40種類以上のシダ植物が切り立った崖に群生し、神秘的で感動的な世界が広がっています。専門的な知識で丁寧に説明してくれるガイドさんと一緒に歩くのがベストです。この日は観光ボランティアガイドの仙頭ゆかりさんに案内していただきました。

伊尾木洞上部の台地。目の前に太平洋が広がっています。

星神社へ向かう途中にある妙見山の絶景ポイント。市内を一望。

彌太郎が江戸遊学へ立つ前に登った「星神社」。

高知県東部の観光情報を発信する「安芸観光情報センター」。
写真は幅13.3m、高さ2.7mのスリーンとCGアニメによって超臨場空間を写すVRシアター。

彌太郎年表パネル。

土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「安芸駅」併設の直売所「安芸駅ぢばさん市場」。

地元の採れたて野菜や加工品、お土産やごめん・なはり線のグッズなど豊富な品揃えです。

温暖な気候と長い日照時間が
この地域ならではの美味を育てる

 国道55号線を安芸漁港から海沿いの道を東に向けてドライブすると、千歳町の海岸に白い絨毯が並べられています。これは釜揚げしらすの天日干しの風景。釜揚げしらすは天日干しをして『ちりめんじゃこ』になります。30近くの台に広げて干されたしらす干しは圧巻です。安芸市は漁港の漁獲量の約9割が『ちりめんじゃこ』にもなるじゃこの産地なのです。また、安芸市は約600人の農家が約140haで栽培する冬春ナスの生産量日本一を誇り、京浜地区を中心に全国に出荷されています。

しらすは台別に大きさの違い、『薄口』『辛口』で分けられ干されます。愛嬌たっぷりに、小松海産の小松宣海さん(73歳)に「ドンドンつまんで食べ比べてみて!」とおっしゃっていただき、走り回りながら台ごとの味比べをしました。

ゆでたてのしらすを台に広げる体験も。
細いしらすはカタマリができやすく意外と難しい。
多い日は3トンも広げて干されます。

カマスやサバの干物もありました。干したての産品は向かいの建物で販売もされています。

この道三十年のナス農家西谷秀輝さんのビニールハウスを見学させていただきました。
こちらでは『竜馬ナス』を4棟のハウスで栽培しています。
蜂がハウス内を飛び回ってビックリしましたが、これは環境保全型の栽培法だからです。

安芸市のビニールハウスの8割はナスです。

海面より16m日本一高い防波堤のある「安芸漁港」。

しらす漁を終えて整然と並ぶ漁船。絵画のような美しさ、昼下がりの安芸漁港。

200余年の歴史と文化の里で
初めてのガラス細工体験

 内原野焼は五藤家が藩の許可を得て焼いたのが始まりと言われています。春には約15,000本のツツジが咲き誇る内原野公園内には「内原野陶芸館」があり、陶芸やガラス細工づくりが気軽に体験できます。ガラス工房では、おひとりさまからでもバーナーワークが楽しめます。完全予約制ですが、指導員がマンツーマンで指導しトンボ玉制作マンツーマンコースで2時間3,500円(お二人以上なら一人2,500円)です。

この日指導してくださったのは、イタリアでガラスARTを学び2021年に『土佐の匠』に認定されガラス細工作家でもある岡崎壮さん。トンボ玉作りに挑戦です。ちなみにトンボ玉とは柄が入った小さなガラス玉のことです。

美しい作品がズラリ。

完成品の展示販売も。

陶芸館の内原野焼展示販売コーナー。

右の建物がガラス工房、奥が陶芸館です。

聞けば懐かしい童心に還って
弘田龍太郎の曲碑巡り

 口ずさむと、ふるさとの風景が浮かんでくる童謡の作曲家弘田龍太郎は、1892年(明治25年)、土居村(安芸市)で生まれました。3歳の時父の転勤に従い安芸を離れますが、東京音楽学校を卒業後大正から昭和初期にかけて数多くの作品を生み出しました。氏の業績をしのび、安芸市内の名所、旧跡地10カ所に曲碑が建てられています。

♪鯉のぼり

♪春よ来い

♪叱られて

柔らかい日差しの庭園を眺めながらお茶のひととき

 和風のお茶屋さん。暖簾をくぐると正面の壁にカップとソーサーがズラリと並んだレトロ調のインテリアが和みます。目の前にのどかな風景が広がっています。

手前は『抹茶セット・手作りヨーカン付(750円)』、奥は『ショートケーキとコーヒーのケーキセット(750円)』。

囲炉裏の部屋の奥の座敷。手入れされた庭園を眺めながら至福のひと時です。

土居廓中・武家屋敷散策の後に寄りたい場所です。

新鮮とれたて出来立ての『しらす』をとことん堪能

 隣の工場からどんどん届く新鮮なしらすを新鮮なうちに提供できるレストランはなかなかありません。地元の特産品や『じゃこソフト』なども買えます。

『釜揚げちりめん丼セット(左850円)』と『安芸まるごと丼セット(右1,400円)』、中央は『なすのタタキ(400円)』。

出来立てに口元が緩みます。

ちりめんじゃこがたっぷり乗せの『じゃこソフト(300円)』。

伊尾木洞でもお世話になった仙頭さん。ありがとうございましたじゃこ!

安芸市の名物アイス『焼きナスのアイス』

 聞いたこのないアイスがあるというので訪ねました。安芸市のナス農家が中心になり考案したそうです。香ばしい香りがクセになりそうです。

「にっぽんの宝物2019」JAPAN大会スイーツ部門グランプリの焼きナスアイスの他にも、酒かす、生姜、青のりなどびっくりするようなラインナップが揃っています。

MAP

高知県安芸市