阿波藍のふるさと巡り

徳島県北部を流れる吉野川が生んだ
『神秘のブルー・藍』の伝統と文化を訪ねました
撮影地/吉野川河口に架かる「吉野川サンライズ大橋」の日の出風景
かつて毎年のように氾濫を起こしていた吉野川は、それと引き換えのようにこの流域へ、上流から肥沃な土壌を運び込みました。この土壌と吉野川の豊富な伏流水に恵まれた環境が、米作には不向きでも、藍の栽培には極めて適していたのです。江戸時代の藩の強力な奨励もあり『阿波藍』は全国に。流域の各地では独特の伝統や歴史を生み出し、訪れる人に驚きと感動を届けています。
低い欄干が特徴の、脇町と穴吹を結ぶ「脇町潜水橋」。


徳島県美馬市脇町うだつの町並みは、江戸時代から阿波藍の集散地として栄えた商家町で、歴史的な建造物が建ち並んでいます。本来防火壁であった「うだつ」は、江戸時代になると、裕福な商家が富を競い合い、本瓦葺きの重厚な装飾がなされる様になり、この町のシンボルに。食事やカフェ、お土産屋や伝統工芸の体験など、楽しい町歩きが満喫できます。
藍商人たちの栄華を極めた町並み、重要伝統的建造物群保存地区を歩く。
見所は、「うだつ」「むくり屋根」「虫籠窓(むしこまど)」「出格子」など。
江戸時代、日本を訪れたイギリスの化学者が、庶民の暮らしにあふれる美しい藍色(藍染め)に驚嘆し、日本の象徴的な色として「ジャパンブルー」と呼び世界に紹介しました。藍住町歴史館「藍の館」では、藍の栽培に使われた道具、大藍商の屋敷、藍の栽培や葉藍の加工から藍染を行うまでの工程を再現した紙人形などが展示され、藍の歴史を知ることができます。
莫大な富を得た藍商人たちは、その経済力を背景に、庶民の娯楽であった人形浄瑠璃を淡路島から招き定着したのが『阿波人形浄瑠璃』です。


石井町にある「田中家住宅」は、江戸初期より約400年間この地で代々藍染料を製造・販売してきた藍師・藍商の「藍屋敷」です。重要文化財としては大変珍しく、現在も17代目当主がお住まいです。建物や商品が水に浸からないよう石垣全体が高く築かれており、他にも様々な工夫が見て取れます。上板町の「安楽寺」では、藍染で装飾された『青龍の間』で宿泊もできます。
11棟が立ち並ぶ石井町の藍商の家。約700坪の広大な敷地。屋敷の周りの畑も。
※特別な許可のもと撮影しています。

大正時代末期に建てられた伝統的町家形式古民家の「お茶処 茶里庵」。お店に入ると目に飛び込んでくるのが、大きな赤い美馬和傘。懐かしい雰囲気に心が安らぎます。本業はお茶の製造販売で、店内には脇町特産の自家製「深むし茶」「くき茶」「煎茶」や「そば煎餅」なども販売されています。
茶里庵
徳島の郷土料理“そば米雑炊”がいただけるお店。今回はぜんざい(手前800円)と煎茶セット(お土産付 800円)をいただきました。煎茶セットには、そば米粉のゼリーにきな粉とあんこが乗っています。お土産は“くき茶”です。

大きな美馬和傘。

『袖うだつ』もあり、町並みに溶け込んだ落ち着きのある佇まいです。
兵庫県出石出身の店主自身が自家製粉で打つ、本場の手打ちそばのお店。出石焼の器に少量ずつ盛ったお蕎麦を生卵と山芋の入った出汁に絡めていただきます。
手打皿そば 楽庵
皿そばは1人前5皿、玉子・山芋付きで900円。


麺が無くなり次第終了です。

オデオン座の北隣です。

徳島特産の“阿波尾鶏”をメインに提供しています。ガラス張りの解放感のある店内は、この景色を見に遠方からも訪れる人がいるほどです。
藍蔵(あいぐら)
手前は、「阿波尾鶏せいろ蒸し」(1,430円)、奥が「みまからフランク添えカレー」(1,430円)。

古い藍蔵(藍を保管する蔵)を改装した天井が高く窓が大きい店内。

道の駅 藍ランドうだつ 藍蔵の2階にあるカフェコーナーす。
80歳代がメインの集落、渕名(ふちみょう)にあります。国道492号から、くねくねとした山道を30分。待ち受けるのは、爽快な景色とここでしか味わえないご馳走です。レストラン前の畑でオーナーが自ら丹精込めて栽培した野菜をその日の朝に収穫し、お昼(11:30〜14:30)に野菜たっぷりの定食を提供しています(火曜日定休、要予約0883-56-0725 当日の朝でOKです)。心癒される里山でゆっくりいただきます。
※1月は7日(水)から営業
農家レストラン 風和里
手前から、「風和里定食」(1,300円)。ロールキャベツに菜飯、茶碗蒸しが付きます。奥は、野菜天ぷら定食(1,000円)に+300円で白米を菜飯に、茶碗蒸しも付きます。この日の天ぷらは美味しさあふれる、お芋、かぼちゃ、蓮根、インゲン、椎茸、ちくわ、小ネギ唐揚げの7種。


丁寧に野菜のおいしさについて熱く語る、開業以来のスタッフ大竹一(はじめ)さん。

周りの野菜畑に囲まれた素晴らしいロケーション。
徳島県
VEZEL RS
