
黒潮が太平洋にきらめく四国最南端のまち
紺碧の海、真っ青な空、そしてとびっきりのグルメに会いたくて
元気弾ける初夏の土佐清水市を訪ねました
- (写真)写真の右の小さな橋を渡ると真っ白な砂浜と緑たっぷりの林が1.6kmにわたってゆるやかなカーブを描く「大岐(おおき)の浜」が広がっています。県内外からサーファーが集まるメッカにもなっています。
ダイナミックな自然に圧倒され
“さかなの町”の魚介にノックアウト
ほぼ市の全域が『足摺宇和海国立公園』の中にある土佐清水市。黒潮が接岸する足摺岬や自然の不思議を実感する竜串・見残海岸を訪ねると、地球のダイナミズムにただただ感嘆。また、土佐清水の代表的な魚と言えば『清水さば』『めじか(ソウダガツオ)』ですが、その新鮮な食感と旨みはお魚好きにはたまりません。日本初の国際人「ジョン万次郎」も忘れてはなりません。日本人として初めてアメリカに渡り、測量や航海術などを学んだ後、日本に帰国し、日本の夜明けや国際交流に多大な功績を残しています。
- (写真左)四国最南端の岬「足摺岬」。岬の西にある岩礁「臼碆(うすばえ)」は、黒潮本流が直接ぶつかる全国でも唯一の場所です。
- (写真中・右)旅の途中に是非寄りたい「万次郎足湯」。階段状に4つの浴槽があり、大きな全面ガラス張りの窓からは、雄大な太平洋と青い空や高知県の天然記念物に指定されている「白山洞門」もゆったり気分で眺められます。嬉しい無料です。
- (写真左)足摺岬周辺は亜熱帯性の植物が生い茂っています。松尾神社境内にある「松尾のアコウ」もその一つ。クワ科イチジク属の常緑樹で、親木(こちらはイスノキ)に寄生し気根を垂らして成長し最後には親木を覆い尽くし枯死させてしまいます。樹齢300年のこの大樹は国の天然記念物に指定されています。
- (写真中)松尾神社から下り坂を降りると小さな漁港が見えてきます。近くによると透き通った海が目茶苦茶綺麗な「松尾漁港」です。港の右岸を防波堤まで足を進めると3分ほどで、神秘という言葉がぴったりの『青の洞窟』に出会えます。洞窟には樹木が垂れ下がり海底まではっきり見える様は、ただただ魅入るばかりです。
- (写真右)小さな漁港です。写真の中央奥が「青の洞窟」です。
波乱万丈の人生が語りかける
パイオニア精神とチャレンジ魂
ジョン万次郎こと中濱万次郎は現在の土佐清水市中浜(なかのはま)の漁師の次男として生まれました。14歳の時に漁に出て遭難。無人島に仲間4人と漂着し143日も過酷な日々を過ごしたのち幸運にもアメリカの捕鯨船に助けられ、アメリカ本土上陸を果たしました。日本人としては初のことと言われています。米国で学んだ後帰国。教授や通訳として活躍し、岩崎弥太郎、勝海舟、福沢諭吉にも影響を与えた人物です。今市をあげて、ジョン万次郎のNHK大河ドラマ化を目指し活動をしており、先取りで訪ねるのはいかがですか。
- (写真左)土佐清水中央町商店街の一角。どこか昭和の香りが残るレトロな商店街です。左の角に「元祖ペラ焼きにしむら」ののれんも見えます。
- (写真中)黒潮が近くを流れていることもあり、漁の盛んな高知県の中でも有数の水揚げを誇る「土佐清水漁港」。足摺岬沖の岩礁の漁場で丁寧に一本釣りされたゴマサバは『清水サバ』のブランドで有名です。
- (写真右)太平洋を見下ろす臼碆の断崖に建つ「竜宮神社」。参拝すると必ず大漁になるとの言い伝えがあります。
- (写真左・中)縄文時代から弥生時代にかけての石器や土器が数多く出土、またストーンサークルのような石が配列されていた「唐人駄馬(とうじんだば)遺跡」。背後に6〜7mもある唐人石が見えます。
- (写真右)ジョン万次郎が生まれた中浜の中浜会館でボランティアガイドの西川英治さんに万次郎の漂流経路などをお聞きしました。
- (写真左・中) 市街地から車を10分ほど走らせると、あしずり港に一際目立つ「ジョン万次郎資料館」が見えてきます。館内には、日本人初の国際人と言われるジョン万次郎の生涯や功績を展示。万次郎の偉大さを肌で感じられます。
- (写真右) 復元された「ジョン万次郎生家」。
- (写真左)あしずり港公園には「萬次郎少年像」が。共に漂流した4人の仲間と助けを求める姿がリアルでドラマチックな像です。
- (写真中)資料館内にある「海風食堂」で一休み。
- (写真右)チョコとチーズのケーキセット(どちらも600円)。
見れば見るほど募る不思議
感動!四国最南端の絶景
千尋岬の西側には、見たことのない海岸が広がっています。「竜串海岸」では、砂岩や泥岩が風化や波の侵食作用で約1500万年〜2000万年かけて作り出された数々の奇岩が連なっています。『蛙の千匹連』『大竹小竹』などと名付けられた名所が数多くあり、遊歩道でのんびり観察できます。もう一つ、昔、弘法大師があまりの険しさにこの地を見残した事から名付けられたという「見残し」海岸は、ここに来れば地球そのものが最高のアーチストであることを実感します。どこか違う惑星に迷い込んだような気になる絶景です。
- (写真左)高知県立足摺海洋館SATOUMI」は、竜串エリア全体が大きな自然のミュージアムであることをコンセプトに、足摺の生態系をリアルに再現した展示と眼前の竜串湾の自然やアクティビティが連動する日本初の施設です。入館すると『足摺の原生林』がお出迎え。リアルさに驚きます。
- (写真中)プロローグエリアの大きなウミガメ。足摺、竜串の海岸には、毎年アカウミガメが産卵にやってきます。
- (写真右)外洋水槽では、下から魚を観察できます。
- (写真左) 1階と2階を貫く『竜串湾大水槽』。四国最大級!水量430tの大水槽にシコロサンゴなどの群落とその間に熱帯魚が泳いでいます。
- (写真右)昨年7月にリニューアルオープンしたばかり。見応え十分でした。
“遊び”、“学び”、“味わえる”
『生まれ変わった』竜串
竜串地区は、1970年に我が国初の海中公園に指定されました。多種多様なサンゴや魚類が生息する水中の楽園として、奇岩風景が楽しめる西日本有数の観光地として人々を魅了してきました。このかけがえのない自然の資源をさらに広く知ってもらうため2019年から2020年にかけて3つの新しい施設がオープン。これまでの施設、自然のフィールドが連携した一大レジャー基地になっています。キャンプ場、水族館、海水浴場などが一体となった竜串はこの夏一押しのドライブスポットです。
- (写真左)1967年に開館した「海のギャラリー」。国内では珍しい貝類の博物館です。大きいもので1m以上、小さなものは1mm以下という貝類を約3,000種、50,000点を展示しています。
- (写真中) 日本の三宝と称される『テラマチダカラ』『オトメダカラ』『ニッポンダカラ』も展示。買うなら1個100万円以上するそうです。
- (写真右)54年前に建てられたとは思えないモダンな建物も一見の価値あり。
- (写真左)竜串を含む足摺宇和海国立公園の自然情報、利用情報を広く発信する「竜串ビジターセンターうみのわ」。
- (写真中)館内にはコンシェルジェが地域の観光の案内もしてくれます。景色、アクティビティ、食べ物などの地域情報をこちらで仕入れてからの観光がオススメです。
- (写真右)展望デッキに出ると、目の前に桜浜海水浴場が。館内にはシャワー(温水)室も完備しています。
- (写真左)市街地から西へ8kmほどドライブすると不思議な造形美が 目に飛び込 できます。千尋岬からの西側は奇岩が連なり、神秘的な絶景に圧倒されます。写真は象徴的な奇岩群。足摺海底館の方から『欄間岩』『大竹小竹』『絞り幕』と呼ばれる奇岩。
- (写真中)千尋岬先端の「見残し」へ向かうグラスボート。
- (写真右)船底ガラスから見る見残し海岸湾は、日本最大級のシコロサンゴの群生地。アナゴが顔を出していました。
- (写真左)叶埼へ続く国道321号線(通称サニーロード)。VEZELのSPORTモードを存分に楽しみました。
- (写真中)2019年4月に竜串地区にオープンした「スノーピーク土佐清水キャンプフィールド」。管理棟にはスノーピーク直営店も併設。キャンプ用品からアパレルまで揃っています。
- (写真右)空から見た全景。絶好のロケーションにあります。一年を通して温暖な海洋に包まれて過ごす特別な“野遊び”が楽しめます。
活きアワビに緋扇貝 サザエにハランボ あしずりの海賊焼
館内の至る所で雄大な太平洋の自然を一望
今回のお宿は、足摺温泉郷にある「足摺国際ホテル」。太平洋を眼前に望む絶好のロケーションにあります。温泉は弱アルカリ性の天然ラドン温泉で万病の湯といわれています。
- (写真)その日に揚がった新鮮な海の幸を網焼きでいただく海鮮バーベキュー『海鮮焼会席』。網の上では、アワビが踊り、貝の焼ける音が広がります。
足摺国際ホテル
住所/土佐清水市足摺岬662
透き通った海の港を前に時間を忘れて楽しむランチ
サーファーご夫婦が移住して始めたカフェ
大阪から大岐の浜まで通うのが大変。と10年前に移住してきた坪田さんご夫妻。天気が良ければ毎日波乗りしているそうです。ちなみに69(ログ)もLOGも愛犬の名前です。
- (写真左)前は人気No.1タコライス(700円)とオレンジジュース(300円)、奥がホットドッグ(450円)とバナナジュース(450円)。
- (写真右)ご主人の気さくなお話に癒されました。
CAFÉ 69 LOG
住所/土佐清水市松尾171-2
練炭火鉢で焼く土佐清水のソウルフード
地元に愛されペラ焼き一筋64年
創業は1957年。今の店主のおばちゃん中山郁子さん(78歳)で何と三代目という歴史あるお店です。こちらの商店街ができたのが1983年ですからそれよりも古くからあるわけです。大きな鉄板の下には練炭火鉢が2つ。これでないと美味しい味が出せないと初代おばあさまの作法を守っています。
- (写真左)ペラ焼きとは、薄く伸ばした生地に、すり身の天ぷら、ネギ、卵を乗せて焼いたもの。3種のソースと醤油からソースを選びます(400円〜)。
- (写真中)食べた後は足取りも軽く〜。
元祖ぺら焼にしむら
住所/土佐清水市中央町6-1-1
土佐清水に来たら何をおいても海の幸
ここでしか味わえない地元飯、漁師飯
ここに来れば『さかなの町土佐清水』を丸ごと実感
土佐清水漁港を目指して湾岸道路をドライブしていると、外観が黒い建物が目に飛び込んできます。こちらは、「土佐清水さかなセンター足摺黒潮市場」。土佐清水港のすぐそばにあり、朝獲れ、夕獲れの新鮮な魚介類のお料理がいただけるレストランや、地元の特産品や限定商品をたくさん揃えたおみやげコーナーがあります。
- (写真左)土佐清水松尾は、カツオのたたきの発祥の地と言われている場所。左は『かつおたたき丼(味噌汁とお新香が付いて1100円)』。右のだし汁をかけているのは、宗田節がたっぷりかかった『宗田節の漁師茶漬け(かつおのたたき、お味噌汁などが付いて1100円)』。ご飯に最初は特選タレで、後はだし汁で。
- (写真中)行き交う漁船を眺めながらのひととき。
- (写真右)目立つ建物なのですぐ見つけられます。
土佐清水さかなセンター足摺黒潮市場
住所/高知県土佐清水市清水3-932-5
和食文化を陰で支える『宗田節』を体験
創業109年の味をもっと身近にとオープン
プロ料理人御用達、土佐清水の特産品。新鮮なメジカを一週間、時間をかけ燻して『宗田節』に仕上げます。コクのあるだしが特徴で、蕎麦やうどんのつゆには欠かせません。大正元年創業の「たけまさ商店」は、伝統の製法を四代にわたり守り作り続けています。
- (写真左)自宅でできる『うまみ醤油づくり』の瓶(864円)。
- (写真中)武政恵美さんの指導で、「うまみ醤油づくり」体験も
- (写真右) 出来上がった後は瓶にイラストを。
- (写真左)そうだ節を使った商品も各種そろっています。
- (写真中)今年の3月に『だしの郷 たけまさ商店』を開店。宗田節を使った商品の販売をしています。